秋田市の中学校で同級生からいじめを受けた女子生徒が不登校となり、精神的な不調に悩まされ続けている。市教育委員会は「学校は適切な対応をしていた」と説明するが、母親は「認定の遅れが娘の苦しみを深めた」と訴える。
苦しみ続ける娘と家族

女子生徒は中学2年生だった2023年春、同じクラスの男子生徒から表情をやゆされるなどのいじめを受けるようになった。
恐怖心から不登校となり、やがて精神疾患を患い、フラッシュバックに悩まされるようになった。
母親は当時の思いをこう語る。

女子生徒の母親:
「娘は行きたかった学校で授業も受けられず、逃げるようにフリースクールに行かざるを得なくなった。加害生徒は青春を謳歌(おうか)していて、ずっとそのことが家族を苦しめている」
見落とされた訴え
母親は2023年5月、いじめの内容をまとめた書面を学校のスクールカウンセラーに提出した。
しかし学校側がいじめを認知したのは1カ月後の6月。母親はその対応の遅れを悔やむ。

女子生徒の母親:
「教頭先生から『職員全員で書面を見落としていた』と電話で話された。あの瞬間に渡っていれば、今の娘の状態はここまでひどくならなかったかもしれない。状況が変わっていたんじゃないかと思ってしまう」
遅れた「重大事態」認定
母親は「いじめ防止対策推進法が定める重大事態に該当する」と市教育委員会に訴えた。しかし当初は「重大事態並み」との回答にとどまり、認定まで10カ月以上を要した。

2024年3月、ようやく「重大事態」と認定されたが、母親は「遅いと思っていた。早い段階で認定してもらっていれば早期解決できたのかなという思いがあった。それをしなかったのは何の利益を優先させたのか」と振り返る。
教育委員会「学校は適切な対応」
2025年12月15日に開かれた市議会教育産業委員会で、市教育委員会の担当者は「保護者は5月に訴え、学校は6月に確認したという相違がある」と説明。
その上で「学校は6月に確認した時点で適切な対応をしていた」との認識を示した。
さらに今後については「子供との個別面談やカウンセラー、保護者との連携を図り、未然防止や早期発見に努めたい」と述べている。
「家族も地獄」母親の悲痛な声
女子生徒は高校に進学したものの、フラッシュバックの症状で通院や入院を余儀なくされ、通学は難しい状態が続いている。

母親は「いじめは本人はもちろん苦しいけれども、家族も地獄。そういう現実なんだということを分かってほしい」と訴える。
「学校は適切な対応をしていた」とする教育委員会と、「認定の遅れが娘を苦しめた」と語る母親。両者の認識の差は大きい。だが確かなのは、いじめによって一人の生徒とその家族が深い傷を負い続けているという事実だ。
(秋田テレビ)
