北陸電力は富山市犬島にある社宅「犬島ハイム」を無印良品のリノベーションを展開する「MUJI HOUSE」と協力し、一般向け賃貸住宅として再生させる取り組みを開始した。築30年近い建物に新たな命を吹き込み、地域のにぎわい創出を目指している。

全国初の一棟まるごとリノベーション
1996年に建てられた「犬島ハイム」は、北陸電力の社宅として18戸の部屋が使われてきたが、今年6月に役目を終えた。北陸電力はこの社宅の再生を無印良品のリノベーションを展開する「MUJI HOUSE」に託した。


今回の取り組みは、法人が所有する建物の資産価値向上を目的とした全国で初の一棟まるごとリノベーションとなる。リノベーションされた空間は、広々としたリビングが広がり、築30年近い印象は全く感じられない。壁の一部はコンクリートがあえてむき出しになっており、スタイリッシュな印象を与えている。また、建築当時のメモがデザインの一部として残されているなど、歴史を感じさせる工夫も施されている。

シンプルかつ自由度の高い空間設計

リノベーションの特徴は、シンプルで整えられた空間、アートや家具が際立つデザイン、生活感を抑えた空間である。これまで3LDKだった部屋は2LDKの間取りに変更され、住む人が自分らしい暮らしができるように設計されている。

家族構成の変化に合わせてゆるやかに仕切ることでひとつながりの空間を保ちながら、自由にアレンジができる点も特徴だ。さらに、ユニットを自由に組み合わせてカスタマイズできる収納の工夫もあり、生活感をなくしつつ心地よい距離感を創出している。

MUJI HOUSE法人リノベーション課の松本雄作課長は「賃貸住宅であっても自由に間取りを住みながら変えられる無印良品としては暮らしの提案をしていきたい。Iターン、Uターンで『こういう住まいに住みたい』と思う若い人が多いのではないか」と期待を寄せている。
北陸電力の社宅活用戦略

北陸電力はこれまで3棟の社宅をリノベーションし、賃貸物件として活用してきた。今回は無印良品のブランド力をいかし、地域のにぎわい創出にもつなげたいとしている。
北陸電力事業開発部の川端正一副部長は「富山市内を中心に活用されていない社宅がある。個別の物件の特性をいかして活用を考えていきたい」と今後の展開に意欲を示している。

リノベーションした賃貸住宅は、今月から募集を開始し、来年3月から入居を開始する予定だ。また、金沢にある社宅も同様のリノベーションを予定しており、北陸電力の社宅活用戦略が広がりを見せている。
(富山テレビ放送)
