通販大手アスクルは、10月に発生したサイバー攻撃の影響により停止していた物流システムを約2カ月ぶりに再開した。
医療の現場からは、安堵の声が聞かれた。
今回、システムが復旧したのは法人向けの「アスクル」のみ。個人向けの「ロハコ」の再開時期は1月だという。

大きな影響を受けてきた医療業界では…

サイバー攻撃によるシステム障害が続いていた通販大手「アスクル」の物流システムが再開した。

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いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
あったあった、小さめマスク。これね、買えそうです。

約2カ月に及んだ物流障害。発端となったのは、10月に発生した身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウェア」によるサイバー攻撃だ。
その影響により、アスクルの物流システムはストップし、事態は長期化していた。

そして攻撃から約2カ月が経った17日、停止に追い込まれたシステムを新たに構築し、稼働にこぎつけた。

アスクル・吉岡晃社長:
本格的復旧の段階に入ることができました。これからより一層、信頼回復が重要だと認識しております。

今回システムが復旧したのは法人向けの「アスクル」のみ。個人向けの「ロハコ」の再開時期は1月だという。

今回のシステム障害により、特に大きな影響を受けてきたのが医療業界だ。
医療備品の約7割をアスクルに発注していたという都内のクリニックを取材した。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
コレがなくなったあとの予備がほしかったけど、やっときのう買えたんですよ。

残り少なくなっていた、皮膚の縫合に使う器具を、ようやく注文することができたという。

一方で、長引いたシステム障害による影響は思わぬ形で残されていた。
それは、やむを得ず別のサイトから購入した影響によるものだった。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
大量購入しないと買えないものとか、送料が高いものというのがありましたので、在庫が…。レントゲンやマンモグラフィの部屋なんですけど、段ボールだらけになっています、

車イスが通れるよう最低限のスペースは確保。

しかし本来、患者が着替える場所や病室の通路にも、大量購入による段ボールが積まれていた。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
スペースがどんどん占拠されているのはちょっと不安、負担になっていたので、今後に期待が持てるという意味では明るい気持ちになります。

費用が3倍近くアップした訪問看護会社も

安堵の声は、別の現場でも聞かれた。
アルコール消毒に使う綿やペーパータオルなどをアスクルで購入していたという訪問看護会社だ。

訪問看護ステーション ブロッサム・西村直之代表:
発注できるという安心感にもなりますから、良かったと思います。

システム停止以降、近くのドラッグストアで揃えていたが、費用は以前の3倍近くにアップしたという。

今回のシステム再開は大きな一歩と言えるが、まだまだ届くまでに最大7日かかる商品も。
会社側は、スピード配達の回復に期待を寄せている。

訪問看護ステーション ブロッサム・西村直之代表:
酒精綿、アルコール綿は感染症の予防の一つにもなりますから、欠品させるわけにはいかない。欲を言えば、「アスクル“明日来る”」にまた戻っていただきたいというのが正直な気持ちですね。
(「イット!」12月18日放送より)