競技から離れることで気づいた、スケートへの思い。そして、樋口は再び氷上へと帰ってきた。
「復帰した年に結果を出せなかったこと、取り返さないといけないと思っていました。“全然まだ終わりませんよ”って、結果で証明したかった」
競技をするからには上を目指したい。樋口に再びともったアスリートとしての闘志。その思いが実を結んだ昨季、全日本で3年ぶりの表彰台に返り咲いた。
そして、親友である坂本らとともにミラノ・コルティナ五輪の出場枠を懸けた世界選手権に臨むこととなった。
本人曰く、「自分の感情をそのまま表現している」という彼女にしかできない演技を見せつけ、3枠を獲得。
そして、来るオリンピックシーズン。樋口に再び試練が訪れた。
自分自身とコーチたちとした約束
全日本まであと1カ月に迫る頃、練習拠点である明治神宮アイススケートリンクに樋口の姿があった。
「もうちょっと練習の質を上げていかないといけないところ。なかなか足の調子が戻らないので、できることを今は練習している感じです。気持ちが落ちないようにだけしています」
もう一度五輪の夢舞台へと走りだそうとした矢先、古傷の右足首の痛みが悪化。その影響もあり、GPシリーズ2戦では思うようなパフォーマンスができなかった。
この日も、痛みを伴うジャンプを跳ぶことはなく、磨きをかけているステップやスピンの確認を主に行っていた。それでも、彼女は笑顔を絶やさなかった。
