岩手県大船渡市の山林火災(2025年2月)で焼けた「被害木」について、利用の可能性を探る県の検討会が、12月16日に開かれました。
専門家が「劣化が進まないうちに伐採や利活用をするべき」と指摘しました。
16日の県の検討会には、県内の林業関係者ら約60人が参加しました。
2025年2月に発生した大船渡市の山林火災では、約3370haの森林が焼失していて、その再生に向けて被害木の伐採や活用をいかに進めていくかが課題となっています。
16日は、県の担当者が被害木の強度試験で通常の資材と遜色ないと評価されたと報告した一方、専門家が劣化が進まないうちに利用すべきと指摘しました。
京都大学防災研究所 峠嘉哉特定准教授
「火を受けることによるダメージで、構造が弱くなり危険木化する」
また16日は、京都大学の峠嘉哉特定准教授が、2017年に山林火災が発生した釜石市の尾崎半島の現場を案内し、8年が経過した被害木の状態を説明しました。
尾崎半島の火災では、約400haの森林が焼失、このうち200haほどは植栽などで復旧しましたが、一部のエリアでは焼けた状態の木が残されています。
峠准教授は、釜石の例を踏まえ、大船渡では、劣化が進み倒木などが起きる前に、早期の伐採と利活用を進めることが必要と指摘しました。
京都大学防災研究所 峠嘉哉特定准教授
「今切れば、まだ利用ができるものなので、利用することで、被災した森林の復興を循環していくことが、必要なステージになる」
県は今後、強度試験の結果などを踏まえ、県内の林業関係者らに被害木の利用を働きかける方針です。