一打に魂を込める演奏で観客を魅了する帝京安積高校和太鼓部。部員の半数しか舞台に立てない厳しい競争を乗り越え、3年生は最後の全国大会に挑む。OGでもある顧問の夢と仲間との絆を胸に、日本一を目指した彼らの青春と全国大会に密着した。
創部25年 伝統校の誇りと挑戦
福島県郡山市にある帝京安積高校和太鼓部は、2025年に創部25年を迎えた。これまで4度の全国優勝を誇る強豪校だ。部員は1年生から3年生まで約30人。ほとんどの部員が入部して初めて和太鼓に触れる初心者だが、ほぼ毎週末、県の内外のイベントで演奏を披露している。
演奏を聴いた人からは「本当に感動。お腹にもしみわたるような感じだった」「一目ぼれしました。初めて見たけど、すごくかっこよかった」と称賛の声が上がる。一打一打に魂を込める高校生たちの姿に、多くの人が心を動かされている。
顧問の坂本雄一さんは「間違いなく言えるのは、周りから見ると"伝統校"になってきた。だから、下手な太鼓はできない」と語る。伝統を継承する責任感と誇りが、部員たちの演奏にも表れている。
厳しいオーディションと新曲「黎明」
全員が舞台に立てるわけではない。演奏できるのは部員の約半分、オーディションで選ばれた15人だけだ。部員たちは日々練習に励み、演奏の腕を磨いている。
2年ぶりの全国優勝を目指して演奏するのは、新曲「黎明」。3年生の渡辺宇宙さんと牧野英汰さんが作曲した。
渡辺さんは「去年はあまり良い順位がとれないことが多くて、帝京安積がもう少し、違う帝京安積になるように。新時代という言葉を題材として作りました」と話す。
牧野さんも「もう諦めようかと思った時もあったけど、『黎明』という名前のとおり新しい事の幕開け。そういう期待を込めてしっかり作りました」と制作への思いを語った。
顧問の夢と部員たちの成長
部員の成長を見てきた顧問の鈴木柚香さんは、高校時代に副部長として全国大会へ出場した経験を持つ。日本一には届かなかった彼女は、今は指導者として部員たちと同じ夢を追っている。
「宇宙と英汰、1年生から全国大会のメンバーに入れてきたのは、3年生になったときに優勝させるためだと言っていて、その経験をいかして、いま自分たちの代を優勝させてほしい」と鈴木さんは期待を寄せる。
3年生にとってはこれが最後の大会。牧野さんは「今いるこの仲間と一緒に、日本一の景色・頂点の景色を見られるように頑張っていきたい」と意気込みを見せた。
全国大会での挑戦
2025年12月14日、埼玉県で開催された全国大会「太鼓祭2025 第17回日本一決定戦」。渡辺さんは「いまベスト出せるコンディションだと思うので、しっかりベスト出していきたい」と大会前に語った。
5分間の演奏を無事終えたメンバーは「楽しかった、最高でした」「3年間、いままで先輩方から培ってきたものを全部出し切った」と充実の表情を見せた。顧問の鈴木さんも「全体的に揃っていて、声が出ていたのが良かった」と安堵の表情を浮かべる。
観客の投票で結果が決まる大会。投票の結果、一般の部・日本一は1217票で日本航空高校に決まった。日本一には届かなかったが、すべてを出し切った部員たち。
牧野さんは「自分も1年生のときから大会に出て、みんなを日本一に引っ張るためにここまで頑張ってきたけど、その夢が果たせなくて申し訳ない気持ちでいっぱい。本当に3年間応援していただき、ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えた。
顧問の鈴木さんは「悔しいけど、いい演奏だったので良かった。今回の反省をいかして来年こそは絶対、日本一とりたい」とバトンをつなぐ言葉を残した。
仲間と目指した日本一への挑戦。熱い思いはしっかりと後輩たちへ受け継がれていく。
(福島テレビ)
