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 2025年11月、厚生労働省は2026年度より国民皆歯科健診の第一歩となる取り組みとして、健康診断で歯周病検査を実施する企業への支援を開始する方針を示しました。背景にあるのは現役世代の歯周病の高い罹患率です。厚生労働省の調査によると、25~34歳で25.8%、35~44歳で28.0%、45~54歳では43.0%が罹患しています。

 このように歯周病予防への注目度が高まる中、2022年の発売以降、順調に販売数を伸ばしているのが、40年以上前から歯周病菌と向き合い、歯周病とたたかうブランド「G・U・M(ガム)」を展開するサンスターの「ガム・プラス」シリーズです。長年の研究で辿り着いた“歯周病予防の進化系”ともいえる製品です。

 今回、その開発を担った歯周病菌研究者の犬伏 順也(いぬぶし じゅんや)と製品開発担当の西村 佳祐(にしむら けいすけ)に、同社の40年以上にわたる歯周病菌とのたたかいの歴史と製品開発の舞台裏を聞きました。

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いち早く歯周病菌研究に着手したサンスター。そのたたかいは「敵を知る」ことから始まった

——サンスターは常に最前線で歯周病菌研究に努めてきたと思いますが、まずはサンスターの「歯周病菌とのたたかい」の歴史について教えてください。


犬伏:サンスターの歯周病菌とのたたかいは、そのままG・U・M(ガム)ブランドの歴史と言えます。その始まりは、1979年、ニューヨーク州立大学バッファロー校へ当社の研究員が留学したことです。当時、歯周病の病態はまだ十分に解明されておらず、「細菌感染症」という認識すらはっきりしていませんでした。

その後1980年代はじめ、留学先の研究チームが原因菌の一つ、ポルフィロモナス・ジンジバリス——P.g.菌を特定。歯周病は細菌による感染症であることが明らかになり、そこからG・U・M(ガム)と歯周病菌とのたたかいがはじまったのです。

ただすぐに歯周病菌の培養という課題にぶつかりました。P.g.菌は酸素を嫌う嫌気性菌。特殊な培養技術が必要で、当時はその培養方法自体が最先端の技術でした。サンスターは早くからその技術を習得し、どうしたら殺菌、制御できるのかという研究に進むことができました。

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初代G・U・M(ガム)誕生——殺菌剤「CPC」の効果を引き出す処方設計技術

1989年 G・U・M ホームデンティストシリーズ


——そこから、歯周病菌の殺菌剤の研究と製品化につながっていくわけですね。


犬伏:約20種類の殺菌剤の有効性評価試験を経て、歯周病菌に効き目の高いCPC(塩化セチルピリジニウム)が見つかりました。ただ、当時ハミガキに使用されていた泡立つ成分とCPCの相性が悪く、合わせるとその殺菌力が打ち消されてしまったんです。狙った効果を引き出す組み合わせを見つけるのにものすごく苦労したと聞いています。


——有効な素材の研究開発とは別に、製品化するための処方技術も必要なんですね。


犬伏:私は、処方の難しさを「お寿司」に例えるんです。素晴らしいネタを素人が握ってもおいしくなるとは限らない。職人の技と掛け合わせて初めておいしいお寿司が握れる。ハミガキの処方も同じで、様々な成分が相互作用します。技術開発と改良を経て、1989年に初代G・U・M(ガム)が誕生しました。

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歯周病菌の殺菌に成功したのに「なぜ、歯周病は減らないのか?」——次なる進化への出発点となった疑問

——初代G・U・M(ガム)シリーズの発売後、歯周病菌とのたたかいはどのように進んだのでしょうか?



犬伏: 「歯周病で苦しむ人を一人でも減らしたい」―その思いで歯周病菌の研究に取り組む中、ずっとモヤモヤしていたことがあって…。

理論上、細菌感染症である歯周病は、原因菌であるP.g.菌を殺菌することで予防できるはずです。しかしながらG・U・M(ガム)をはじめ、殺菌効果のある製品が多く世の中にあるにもかかわらず、歯周病の罹患率は高いまま。その理由を考えた時、私の中に浮かんだのが「P.g.菌を殺菌するという観点だけでは足りないんじゃないか」という考えでした。そして、その疑問を解くことにつながったのが、2010年頃からの遺伝子解析技術の発達によって口の中の菌全体が見えるようになったことです。その結果、歯周病菌だけでなくその周辺にいる菌のバランスがすごく大事だということが少しずつ分かってきた中で、私たちが注目したのがフゾバクテリウム・ヌクレアタム(F.n.菌)でした。

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P.g.菌を増やす"黒幕"の存在——F.n.菌という新たな標的


——F.n.菌に注目したきっかけや理由を教えてください。


犬伏: 口の中の菌のバランスを見たときに、F.n.菌が多いこと、そしてそれがP.g.菌と一緒に見られるという点が目を引いたんです。実は、P.g.菌はF.n.菌により増殖を助けられ、それにより病原性を強めることがわかってきました。

 また、殺菌剤CPCについても、F.n.菌に対しては少し苦手とすることが分かってきました。そういった個々の研究結果がつながったとき、ピッときたんです。口腔内に多く存在し、かつ既存の殺菌剤CPCが苦手とする菌。この"黒幕菌"を攻略すれば、歯周病予防につながると。


——まさにピースが揃った瞬間ですね。ひらめきの源泉はどんなところにあるのでしょうか?


犬伏: 研究に向き合う中で、サンスターでは歯周病菌の研究はもちろん、医科の最先端技術や研究の話など多くの知識に触れることができる環境にありました。そういった知識は一つ一つはバラバラなんですけど、多く触れることで共通点やつながりが見えてきたりするんです。最先端の知識を幅広く得ることが、自分自身の研究や製品づくりに間違いなくつながっています。

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「ガム・プラス」製品化への格闘——効果・安定性・使用感のせめぎあいから生まれた絶妙な処方

——ここからは、いよいよガム・プラスの製品化のフェーズですね。製品化にはどんな課題があったのでしょうか?



西村: 私は犬伏さんのチームが見つけた新しい素材を、実際にハミガキやデンタルリンスに配合し、製品化するための処方開発を担当しています。

今回、F.n.菌を効果的に殺菌する技術が見つかったのですが、それを製品の処方に落とし込む際に課題となったのが、新しい成分によって処方が不安定になってしまうこと、そして刺激性や苦味などの使用感も影響を受けることでした。殺菌の有効性を確保するには一定の濃度が必要ですが、濃度によっては品質の安定性を欠いてしまう。そこのせめぎ合いなんですよね。医薬部外品であるガム・プラスのハミガキやデンタルリンスは、未開封で3年間、品質を維持することが求められます。たとえばデンタルリンスの場合、見た目はもちろん、製品中でCPCなどの有効成分が規定の濃度を保たなければならない。今回の処方で特に苦労したのは、処方バランスによっては白濁や沈殿が起きてしまうことでした。


犬伏: 確かにゾッとしたよね、あれは(笑)。お互いにどこが最適かを議論しながら、毎月ミーティングを重ねて完成させた今回のガム・プラスのデンタルリンスの処方を、我々は「絶妙な処方設計」だと考えています。そのくらい処方開発は難しいんですよ。


西村:ガム・プラス デンタルリンスの処方開発期間は2〜3年ほど。その間、ひたすら地道なトライ&エラーを繰り返して、最適なバランスを見つけていく。これが処方開発です。


——効果以外にも使用感の設計でこだわった点や工夫した点はありますか?


西村:ターゲットユーザーを意識するといった工夫はありましたが、従来のG・U・M(ガム)製品の使用感は維持することにこだわりました。


犬伏: 実は、お客様の声を拝見すると、「G・U・M(ガム)の味」という言葉が目につきます。もちろん製品にはハーブミントといった香味の名前がありますが、お客様は名前にかかわらず「これはG・U・M(ガム)の味だ」とおっしゃる(笑)。お客様が愛用してくださっている理由でもあるので、大事にしていきたい点ですね。

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「歯周病予防に妥協しない」——40年以上の技術が詰まったガム・プラス の真価とは

2022年発売のガム・プラスシリーズ:デンタルペースト(左)とデンタルリンス(右)


——開発者の立場から「ガム・プラス」シリーズの特徴を教えてください。


西村: このガム・プラスには、これまでのG・U・M(ガム)の開発と改良の歴史が詰まっていると思っています。歯周病菌の発見から始まり、原因菌であるP.g.菌を殺菌できる初代G・U・M(ガム)シリーズ。今回は触れていませんが、その後の様々な研究も今のG・U・M(ガム)シリーズに取り入れられています。そしてP.g.菌だけでなく、その増殖を助けるF.n.菌に対してもアプローチした「ガム・プラス」。まさにこれまでの歯周病菌研究の全てを活かし、歯周病を予防できることが一番の特徴ではないでしょうか。消費者の皆さんに全てを伝える難しさはありますが、使っていただけたら「いいな」と思ってもらえる製品だと思っています。


犬伏: 私は、ガム・プラスは「歯周病菌に真摯に向き合った製品」だということが何よりの特徴だと思っています。「歯周病で悩む人をなくしたい」という研究者としての純粋な想いから生まれた製品であり、だからこそ歯周病の予防という目的に一切妥協していませんから。


——発売から3年、実際のお客様の反応はいかがですか?


西村: 実は、犬伏さんは頻繁に製品の口コミや弊社にいただくお客様の声をチェックして、読み込んでいるんです(笑)。


犬伏:ガム・プラスシリーズのお客様の声はよく見ています。お客様の声を読ませていただくと、日々使うアイテムとして取り入れてくださって、リピートしていただいている方が多い印象です。私自身も日々使いながら効果を実感しています。


——ガム・プラスシリーズをおすすめしたい世代やシーンなどはありますか?


西村: お口の中にF.n.菌が増えてくるのは40代というデータがあります。その年代の方はもちろん、むしろF.n.菌の定着を予防するという考えから、30代から使っていただけると嬉しいですね。


犬伏: F.n.菌は歯周病の原因となる菌の塊を作りやすい細菌ですが、ブラッシングや口腔ケアが苦手な方で増えやすいという報告もあります。ですのでブラッシングが苦手な方にぜひ使ってほしいですね。ハミガキだけでなくデンタルリンスも合わせて使っていただき、日常から F.n.菌をしっかり制御することで、歯周病菌が増えにくい口腔環境を作っていただければと思います。


——研究者としておすすめのオーラルケアはありますか?


犬伏:私は正しいオーラルケアをよく「掃除」に例えるんです。例えば、お風呂場にモノが散乱しているのに、いきなり床に洗剤をかけてブラシ掛けはしないでしょう。不用品を片付けた上で洗剤を使って掃除をしますよね。オーラルケアも同じです。

まずはプラーク(歯垢)の除去。ブラッシングだけでなくフロスや歯間ブラシを使います。プラークは歯ブラシによるブラッシングでは6割程度、フロスや歯間ブラシを併用しても8割程度しか除去できないと言われています。残ったプラークは、唾液の中のカルシウム成分が沈着して歯石につながっていきます。

オーラルケアの基本はプラークを除去した上で、殺菌剤CPCを滞留させること。その上で、ガム・プラスで日頃からF.n.菌をしっかり制御することで、お口の中の歯周病菌を増やさない口腔環境を維持することが大切だと思います。ただし、セルフケアにはどうしても限界がありますので、定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアを受けることをおすすめします。

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技術革新の中で見失わないお客様視点―研究者として貫く姿勢


——最後に研究者として、今後歯周病予防やオーラルケアの研究に対し大切にしたい思いを教えてください。


犬伏: 私たち研究者は、より効果の高いものを作りたいという情熱で、技術的にどこまでも追求してしまいがちです。でも立ち止まって考えるべきは、「お客様が本当に求めているものは何か」ということ。どんなに高い効果があっても、使いづらくて続けられなければ、結果的に歯周病は予防できません。これはガム・プラスの製品開発に携わり、さらに多くのお客様の声に接して痛感したことです。

「お客様が毎日快適に使い続けられること」と「高い効果」、その両立こそが本当の歯周病予防につながる。これからもお客様目線を大切に、製品開発を続けていきたいと思っています。


西村: 私はこれまでデンタルリンスの製品化を担当する機会が多かったこともあり、デンタルリンスというアイテムのポテンシャルをもっと伸ばしていきたいと思っています。ただ、オーラルケアは単品では完成しません。メインアイテムであるハミガキとハブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルリンスといったサブアイテムの特徴を踏まえて、どのように併用するのが効果的なのかを提案し、またお客様の生活にどう取り入れていただけるのかという視点を常に持ち続けたいと思っています。






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