折りたたみベッドという寝具
皆さんは、折りたたみベッドという寝具があることをご存知でしょうか?
私たちエムール(株式会社エムール/東京都立川市/代表取締役 高橋 幸司)は、2006年に東京多摩地域で創業した寝具家具ブランドです。約19年前の創業期から現在に至るまで、折りたたみベッドをつくり続けてきました。
![]()
創業当時、折りたたみベッドは簡易ベッドとして若者の一人暮らしの中で使われることが多かったと思います。折りたたみベッドに対する一般的な印象も下記のようなネガティブなものが多かったです。
・一時利用
・ギシギシ音がうるさい
・壊れやすい
・寝心地が悪い
私たちエムールは、このような折りたたみベッドの課題を解消すべく、寝心地を改善し、耐久性を高め、一般的なベッド以上の耐久性を誇る折りたたみベッドを次々と開発してまいりました。
![]()
転機はお客様からの一言
市場にはあまり存在しない"頑丈で寝心地の良い折りたたみベッド"を武器に、シェア率を高める中、お客様からこのようなフィードバックをいただきました。
”寝心地は良いし、安心して眠れるけれど、高齢の母親が使うには重すぎる”
”毎日折りたたむとき、もう少し楽になると良いのに”
私たちはハッとしました。折りたたみベッドご購入者様について、改めて調査分析を行ったところ、"頑丈で寝心地の良い折りたたみベッド"は、簡易ベッドではなく日常的な寝具として使われていて、尚且つ、ご高齢の方もお使いになるケースが増えていることに気づかされました。
片手でも安全に開閉できるベッドを
2020年、これまで追求していた頑丈さと寝心地だけでなく、開閉のしやすさをテーマとしたベッドの開発が始まりました。開発コンセプトは"片手でも安全に開閉できるベッド"です。
様々な構造設計のプロトタイプをつくっては失敗し、ようやく糸口が見つかったのは開発スタートから約3年後の2022年12月でした。大学や専門機関との共同研究の中で片手で開閉できる折りたたみベッドの原形が見えてきました。しかしながら、製品化にあたって耐久面と操作性で構造的な課題があり、構想が現実になることはありませんでした。
片手で安全に開閉するためには従来の開閉機構とは全く別の何かを生み出す必要があるのかもしれない。
こうして、開発チームは3年かけてたどり着いた構造設計をゼロから見直す必要に迫られたのです。
構造を実現する部品を探して世界へ
2023年、私たちはこれまでに確立してきた折りたたみベッドの構造設計をあらためて再定義し、基礎となる寝心地と耐久性を損なうことなく、新たな機構を段階的に統合していく開発アプローチへと移行しました。
完成度の高い既存モデルを土台とし、そこに別の機構を組み合わせることで性能を高めていくという考え方自体は一見シンプルです。しかし実際には、設計意図を正確に満たし、かつ長期使用に耐えうる機能性と耐久性を兼ね備えた部品が不可欠でした。
この日から、日本国内にとどまらず世界各地からパーツを探索・調達し、試作と組み上げ、検証を繰り返す日々へと踏み出していったのです。
![]()
独自のトランスフォーム機構の誕生
開閉試験回数が3万回を超えた2025年夏、私たちは独自の開閉機構を備えた、非電動の折りたたみベッドを完成させました。
それは単に形状が変わるベッドではなく、使う人の動きに寄り添い、無理のない力で、静かで滑らかな開閉動作を実現する「スマートな動き」を備えたベッドです。
わずか一畳半の「スペース」があれば、必要なときに「スマート」に広げ、すぐに快適な眠りにつくことができる。そして使わないときには、空間を圧迫することなく、暮らしの中に自然に収まる。そんなベッドの新しい在り方をかたちにしました。
「状態の切り替え動作を容易にすることができる折りたたみベッド」として実用新案登録済(第3252706号)
開閉機構に関する意匠登録済(第1812905号)
私たちはこの製品を、従来の折りたたみベッドの延長線上にある上位モデルとは考えていません。空間を「使う」ための家具ではなく、空間を「生み出す」ためのベッドとして、「スマートスペースベッド」と命名しました。
それほどまでに、これまでにない使用体験を提供できるという確かな手応えがあったからです。
スマートスペースベッドLUXIM(ラクシム)特設ページ
![]()
なぜ開発が続けられたのか?
途中で頓挫しなかったのは、お客様の声が大きかったと開発チームは振り返ります。
エムールでは南青山と立川の2拠点で体験型ショールームを運営しており、国内では珍しい折りたたみベッドが体験できる場所として、全国からお客様が来場されます。
お客様の下記のようなお声が、開発を維持する原動力となりました。
"高齢者施設に入ることになったから、組立不要のベッドを持ち込みたい"
"住み替えタイミングで客間と寝室が一つにしたいから、折りたたみベッドが欲しい"
"引っ越し先が狭くて寝室が5畳も取れない"
"もっと寝室を清潔に保ちたい"
![]()
なぜ非電動にこだわるのか?
確かに電動にすれば、開閉動作に力がいらないベッドは作れます。それでも私たちエムールが非電動にこだわったのは、いつでもどこでも使える安全なベッドにしたかったからです。日本のみならず海外でも、災害時の避難先でも、安全で快適な眠りを提供できるベッドであるために、非電動の開閉機構にこだわりました。
![]()
なぜ片手での開閉にこだわるのか?
エムールの体験ショールームには、ご高齢で腕に力が入りにくい方、半身に麻痺をお持ちの方、障碍を抱えていらっしゃる方もお越しになります。あらゆる方に使っていただきたい、そんな想いからユニバーサルデザインを目指し、片手でも開閉ができるベッドの開発にこだわりました。
![]()
今後の展望は?
都市部における居住空間の狭小化、高齢者施設の増加、独居する方の増加など、空間に関する社会的要請の変化から、家具の在り方も変化していかなければなりません。
空間を埋めていくのがこれまでの家具であるとすれば、私たちエムールが担うのは、空間を生み出す新しい家具の開発・提供です。
![]()
スペースを生むベッド
私たちエムールのビジョンは『眠りで世界の人を元気にする』です。ベッドの重要性を啓発する側の立場です。そのうえで、ベッドというスペースを有効活用できれば、暮らしはもっと自由に豊かになると信じています。まずは、空間を生み出すスマートスペースベッドの存在を多くの方に知っていただきたいです。
![]()
トランスフォーム家具を世界へ
さらに、スマートスペースベッドのほかにも暮らしを豊かにするトランスフォーム家具を新シリーズブランドTATAMUⓇとして次々とリリースしていく予定です。
一間多様の暮らしをしてきた日本ならではの住文化「たたむ」をコンセプトに、東京生まれの家具ブランドである私たちエムールが、新しい暮らしを世界に向けて発信していきます。ぜひご期待ください。
![]()
スマートスペースベッドLUXIM(ラクシム)に関するプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000189.000051129.html
株式会社エムールについて
EMOOR(エムール)は『眠りで世界の人を元気にする』というビジョンのもと、2006年より「寝る・座る・たたむ」に専門性をもった商品開発とECサイトの運営を行っています。人間工学に基づいた商品開発を通して、「目で楽しむインテリア」ではなく「健やかな暮らしを支える健康家具」の普及を目指しています。
・コーポレートサイト
・ブランドサイト
・ブランドブック
https://speakerdeck.com/yusawada/emoor-hui-she-shuo-ming-zi-liao
・公式オンラインショップ
・体験ショールーム(青山・立川)
https://emoor.world/jp/showroom/
・スマートスペースベッドLUXIM特設ページ
・スマートスペースベッドLUXIM販売ページ
https://emoor.jp/products/zd-d-tbed201
学術論文
- 高橋 幸司,大友 香穂里,田中 秀樹:2024 マットレスの寝心地に関する要因分析―全体的な寝心地の因果モデルの提案―.睡眠と環境,18巻1号:1-8頁.
- 高橋 幸司,大友 香穂里,田中 秀樹:2025 50~89歳におけるマットレスの寝心地に関する要因分析―全体的な寝心地の因果モデルの提案(第2報)―.睡眠と環境,19巻1号:1-8頁.
学会発表実績
- 日本睡眠学会第44回定期学術集会(2019年)
- 日本睡眠学会第46回定期学術集会(2021年)
- 日本睡眠学会第47回定期学術集会(2022年)
- 日本睡眠学会第48回定期学術集会(2023年)
- 睡眠環境学会第32回学術大会 奨励賞受賞(2023年)
- マットレスの寝心地に関する要因分析の論文発表(2024年)
- 男性における身体的特徴がマットレスの寝心地に与える影響(2025年)
社会貢献活動
- 東京ヴェルディ/コーポレートパートナー・センサリールームの設置
- 日テレ・東京ヴェルディベレーザ/睡眠・寝具サポーター
- 日テレ・東京ヴェルディメニーナ、セリアス/育成パートナー
- 劇団四季「こころの劇場」/東京都公演パートナー
- 講演/産学連携実施大学
京都大学、多摩大学、東京大学、中央大学、東海大学
東京外国語大学、電気通信大学、富山大学、早稲田大学 ※順不同
- 社会福祉法人至誠学舎立川への寝具家具の寄贈(2019年~)
- 社会福祉法人多摩市社会福祉協議会への寄贈(2019年~)
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ