飲酒運転による事故が東海3県で相次いでいます。酒を飲んで運転することで、ドライバーにどのような悪影響があるのか、リアルに再現されたVR映像を使って疑似体験しました。
■5人死亡の事故も…繰り返される飲酒運転の悲劇
愛知県知立市の国道で12月11日午後11時半ごろ、自転車に乗っていた76歳の男性がダンプカーにはねられ、死亡しました。ダンプカーを運転していたのは西尾市の32歳の男で、酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕され、調べに対して容疑を認めています。

飲酒運転による事故は後を絶ちません。2025年10月には、三重県名張市で軽自動車が横転し、5人が死亡しました。死亡した20歳の男は、酒を飲んで運転していた疑いが持たれています。

12月2日には、鈴鹿市で停車中のパトカーが盗まれる事件が起きました。

およそ5キロに及ぶカーチェイスの末、逮捕された男の呼気からは、基準値を超えるアルコールが検出されました。
■「飲酒運転」の危険 VRで疑似体験
危険な飲酒運転の撲滅へ。安蒜キャスターが飲酒運転の危険を疑似体験しました。
サンダーボルトインタラクティブの安田武史CEO:
「これはVRゴーグルなんですけれども、飲酒運転の状態、どんどん酔っていく状態を疑似的に体験できる」
愛知県尾張旭市の「サンダーボルトインタラクティブ」が制作したVR映像は、愛知県警のアドバイスを受け、実際の道路の映像でリアルに再現しています。
今回は瓶ビール4本程度を飲んだ状態を体験しました。時間の経過とともに酔いが進み、視界が狭くなってきます。
安蒜キャスター:
「ぼやけています。一時停止、止まらない…」

さらに時間が経つと、酔いが進んで視界は“ぐにゃぐにゃ”に…。視線がふらつき、対向車線の車をよけるのもやっとです。
酩酊状態になると、もう運転どころではありません。最後は横断歩道を渡る歩行者に気づくことができず、はねてしまいました。
安蒜キャスター:
「人いました?全然分からない」

安田CEO:
「VRですごく手軽なので、何回も学習していただくことで、より効果が高まる」
このVRゴーグルは企業などに販売され、安全教育に役立てられています。その裏にはある思いがありました。
安田CEO:
「もともとは私の身内が飲酒で自損だったんですけど、ずいぶん前に亡くなっているんですよ。少しでも多くの事故をなくしていきたいという思いで展開をしています」
■判断力の低下も…飲酒運転は「ダメ、絶対」
飲酒運転による影響は、見え方だけではありません。JAFがシミュレーターを使って行った検証では、飲酒の前後で運転操作や判断ミスの回数が4倍近くに増えました。

JAF愛知支部の広報担当:
「一瞬ブレーキを踏む反応が遅れてしまったり、車間距離や、信号が黄色で行った方がいいかの判断も曖昧になってきます」
検証には6人が参加しましたが、ハンドル操作が雑になって運転がふらついたり、ブレーキが遅れて自転車と接触するなど、重大な事故につながりかねない場面もありました。
12月は忘年会シーズン。お酒を飲む機会も増えますが、飲んだ翌日も要注意です。
JAF愛知支部の広報担当:
「一晩寝たから大丈夫というわけではなく、体にだるさが残っているのであれば、その日は運転しないぐらいの気持ちをもって、飲酒に対して意識を高めてもらいたい」
■飲酒運転“厳罰化”も…近年は「下げ止まり」
飲酒運転が厳罰化されたきっかけは2006年、飲酒運転の福岡市職員が家族5人が乗った車に追突し、幼児3人が死亡した事故でした。この事故をきっかけに、2007年には道路交通法が改正され、酒酔い運転の懲役刑が最高3年から5年に、酒気帯び運転が最高1年から3年に引き上げられました。

全国の飲酒運転による交通事故の件数は年々減少傾向にありますが、2021年以降は下げ止まっていて、2024年の死亡事故の件数は前の年から増加しています。

警察庁によりますと、飲酒運転をした場合の死亡事故率は、飲酒なしと比べて「7.4倍」と極めて高くなっています。
愛知県警によると、飲酒運転の検挙数も増えています。2024年の法改正で自転車の飲酒運転が含まれるようになったほか、電動キックボードの利用者の飲酒運転も増えているということです。
