去年の能登半島地震による海底地すべりの影響で被害を受けた漁場のうち、今年の夏に行われた富山湾の庄川河口沖の海底調査の結果が発表され、ベニズワイガニの個体数がきわめて減っていることが分かりました。
これは国などと合同で調査を行った富山県水産研究所が発表したものです。
調査チームは今年7月から8月にかけて、富山湾の庄川河口からおよそ14キロ、水深900メートル前後のベニズワイガニの漁場を調査しました。
海底の映像を撮影するロボットを使用し、漁獲対象となるベニズワイガニの生息密度を推定しました。
調査の結果、ベニズワイガニの生息密度は1000平方メートルあたり2.34個体で、湾中央部の12.6個体などと比べてきわめて少ない数となりました。
調査した漁場は能登半島地震で海底地すべりが起こっていて、県水産研究所はカニが土砂に埋まるなど大きく影響を受けている可能性を指摘しました。
*県水産研究所 辻本良所長
「地震で起きた水産生物の減少に対して、さらに漁獲圧を高めてしまうと、資源の回復がより遅くなってしまうので、ここは踏ん張りどころ。水産生物が子どもを産めるような状況を維持管理して、早期の資源回復につなげていきたい」
今シーズンの富山湾のベニズワイガニの漁獲量は推定でおよそ230トンとやや回復傾向となっていますが、漁場により回復の程度に差があり、県水産研究所は海底地すべりが起きた漁場を避けて、漁は別の漁場で行うのが効果的だとしています。