クリスマスに向けて、ケーキを予約したという人も多い季節。しかし2025年は、クリスマスケーキに欠かせないイチゴに異変が起きている。

「夏の暑さが影響。実が遅い…」

福岡・福津市にある『くわの農園』。育てられているのは福岡県のブランドイチゴ『あまおう』だ。現在、収穫時期を迎えているが、今シーズンは異変が起きているという。

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『くわの農園』の桑野由美さんは「夏の暑さが一番影響している。花芽分化が遅れた影響で、全体的に実がなるのが、遅くなっている。どうしても量が、いま少ない」と話す。

夏の猛暑で苗の成長が進まず、収穫の時期も遅れているというのだ。

さらに「ちょうどクリスマス商戦から年末商戦にかけて、イチゴが足りない状況が続いてくる。どうしてもイチゴが足りないので、全体的に高値になっていくのでは」とイチゴの高騰を桒野さんは危惧する。

イチゴ価格 前年比1~3割高い状況

こうしたなか、すでにイチゴの価格高騰に頭を悩ませている店もある。「イチゴがちょっと高いなという感じですね」と話すのは、福岡市南区にあるケーキ店『パティスリーヨシカ』オーナーシェフの藤田佳彦さんだ。

パティスリーヨシカでは、3種類のクリスマスケーキを用意しているが、原材料の高騰などで今シーズンは2024年より100円ずつ値上げせざるを得なかった。

今後は、クリスマスで需要が高まるにつれ、イチゴの価格がさらに上がる見込みだという。

「一番、最高値で1パック2000円くらいになるのではないかといわれています。クリスマスのパンフレットは10月くらいから受付を始めるので、実際は夏くらいに作る。『1パック、これくらいの金額だろうな』という予想のもとで値付けをしている。イチゴ1パックが2000円とかになっちゃうと全然価格の値付けが変わってくる」と藤田佳彦オーナーシェフは頭を抱える。

帝国データバンクによると、クリスマスケーキの原材料は軒並み値上がりしていて、イチゴの価格は前の年と比べ1~3割高くなっている。その影響でケーキの平均価格は4740円と、前の年と比べて179円高くなっている状況だ。ただパティスリーヨシカでは、さらなる値上げは行わずになんとか乗り切りたい考えだ。

「ドキドキはしていますけど、クリスマスは1年の締め括りみたいな感じなので、いつも来て下さっているお客様に、どれだけサービスできるのかと考えているので、仕方ないかなと思っている」(藤田佳彦オーナーシェフ)。

“真っ白な”ケーキも登場

ケーキ店がイチゴの価格高騰のあおりを受けるなか、製パン大手の『山崎製パン』が販売しているケーキが注目を集めている。それが、イチゴが乗っていない“真っ白な”ケーキだ。トッピングを無くすことでリーズナブルな価格に設定している。4~6人分とされる『5号サイズ』で2160円とお手頃価格になっている。

クリスマスの楽しみのひとつでもあるクリスマスケーキ。今シーズンは、懐事情に合わせてケーキを選択する動きも出てきそうだ。

(テレビ西日本)

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