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オーダーメイドの結婚指輪工房 ith(イズ) は、2025年11月、シンガポール・Tanjong Pagarのアトリエオープンから3周年を迎えました。

この3年間で提供したオーダーメイドリングは数千点にのぼります。日本の職人が一点ずつ仕立てるリングと、「一人一人の物語を宿すオーダーメイド」という世界観は、多民族国家シンガポールで確かな支持を獲得しています。

日本のクラフツマンシップが支持される理由

東南アジアのビジネスハブでもあり、比較的高水準の所得層を持つシンガポールのブライダルジュエリー市場には、日系ブランド、欧米系ブランド、中華系ブランド、そして地元のローカルブランドが参入し、多様な文化と価値観が交錯する高い競争市場となっています。



そのような市場環境のなかで日系のブランドもいくつか事業展開していますが、すでにあるデザインのなかから好みを選んでもらうのでなく、顧客一組一組との対話を通じてそれぞれの嗜好やニーズを掘り下げデザインを決め、それを日本の職人が一点一点、手作業で仕立てるithの指輪作りのアプローチは、他にない顧客体験を提供する独自のポジションを構築しています。機械的な均一さではなく、“ゆらぎ”を美と捉える日本独自の美意識が、ミニマルデザインを好むシンガポールのカップルにも響いています。

>ithのオーダーメイド


2025年8月に開催されたブライダルイベント The SingaporeBrides Wedding Fair では、日本の職人を招いたライブ実演を実施。

静かな手の動きに宿る精緻さと誠実さに、来場者は足を止め、3日間で数百組が訪れる人気コンテンツとなりました。


2026年1月実施予定の同フェアでも、さらなる体験型コンテンツを企画中。

またTanjong Pagarアトリエでの体験型ワークショップも予定しており、「ジャパンクラフトのリアル」を体感できる場を広げていきます。


人口増加・価値観多様化の中で広がるカスタマイズニーズ

近年、シンガポールの人口は増加を続け、2024年時点で600万人を超えるなど過去最高を更新しています。一方で、少子高齢化の進行により国民の年齢中央値が上昇するなど、人口構造には大きな変化が見られます。婚姻件数も2022年をピークに再び減少傾向にあり、結婚を取り巻く環境はかつてと比べて大きく様変わりしています。


前述のとおり世界中の様々なジュエリーブランドが集まる環境において、消費者はブランドごとの世界観や価値基準を丁寧に比較し、自分たちに合う選択肢を探す姿勢がより強まっています。


さらに、婚約から挙式までの準備期間が日本より長い傾向にあるシンガポールでは、カップルが複数ブランドをじっくり比較検討しながら、「自分たちらしさ」や「品質への確信」を重視して意思決定を行う文化が根付いています。


また、人口構造の変化や価値観の個別化が進むなかで、ithでは「デザイン性」や「カスタマイズ性」へのニーズが高まりつつあると捉えています。大量生産品ではなく、“自分たちだけの意味を持つ指輪を選びたい”という声も、現地のお客様との対話を通じて徐々に強く感じられるようになってきました。

2拠点だから叶うクロスボーダーでの体験価値創出

東京とシンガポールの両国にアトリエを持つithは、国境をまたぐカップルの相談も数多く受けています。日本とシンガポールという複数拠点にアトリエを構えていることで、遠距離恋愛のお客様の間を取り持つという素敵なお手伝いや、旅先でのサプライズプロポーズのサポートも可能となりました。

● 事例1:友人を巻き込んだ“完璧なサイズ計測”

シンガポールにお住まいのお客様が、東京在住のお相手への婚約指輪のご相談のためにご来訪。リングの好みはわかるけれど、ピッタリのサイズのリングでプロポーズをしたいというご希望を叶えるため、お相手様のご友人と一芝居を打ったこともありました。ご友人の結婚指輪の下見という名目でお相手様にも表参道アトリエにご同行いただき、「せっかくなので〇〇様もご試着いかがですか?」とこっそりお好みの再確認とサイズ計測を実施。お好みも、サイズもピッタリのリングをお仕立てして、箱根でのサプライズプロポーズにつながりました。


● 事例2:プロポーズの作戦会議

別のお客様は11月末にご来訪。「年末に日本に行くからその時にプロポーズしたい」とのご希望でした。シンガポールのつくり手(接客スタッフ)と旅程表を見ながら、どこでプロポーズするのがベストかという作戦会議も行い、リングをお仕立てしました。出来上がったリングは、日本のつくり手から無事お客様のお手元に納品され、クリスマスの軽井沢でのプロポーズとなりました。


このようにただ指輪をつくるというだけなく、ithが培ってきた「アトリエと職人、そして顧客が一体となってつくりあげる特別な体験価値」は、ithがシンガポールでも選ばれる大きな理由になっています。

成功の裏側にある徹底したローカライズ戦略

オープン当初から現在に至るまで課題も少なくありませんでした。

日本とシンガポールでは、結婚に対する価値観や文化、さらにはプロポーズや挙式のスタイルに至るまで大きな違いがあります。

また、来店予約のタイミングや決定までのスピード感、オンラインでのやり取りの習慣なども日本とは異なり、単に言語を置き換えるだけでは伝わらない難しさがありました。


そのためithでは、現地の文化や行動特性に合わせた接客スタイルの見直しや、言葉のニュアンスまで調整した接客フローのローカライズを進めました。


集客・広告においても、日本国内で効果的だった手法をそのまま持ち込むのではなく、「どの媒体で、どんなメッセージが響くのか」を一から見直す必要がありました。


SNS上の反応を確認しながら投稿内容の方向性を調整し、その結果を広告運用にも反映。さらに、広告を通じて来店されたお客様の実際の成約データを蓄積し、そのデータを再びSNSの企画や発信内容に活かすことで、オーガニック投稿・広告運用・顧客データの3つが循環する改善プロセスを構築してきました。

こうした地道なサイクルを重ねることで、「現地の方々が本当に求めていること」が少しずつ見えてきて、今の“シンガポールらしい ith”のあり方をようやく形にすることができました。


この3年間は、まさに試行錯誤と学びの連続。

“日本のクラフツマンシップを含むithのカルチャーを海外にどう伝えるか”という問いに向き合い続けた時間でもありました。

数字が示すブランドの成長

こうした地道な取り組みを重ねた結果、現在ではithのシンガポールアトリエも、現地のお客様に確かな信頼を得られるようになってきました。


□検索ワード“wedding bands”で シンガポール検索結果:第1位を獲得

□“engagement rings” でも安定して第1位をキープ

□来店数・成約率ともに安定した成長トレンド

□複数口コミサイトで高評価レビューを獲得


といった具体的な指標においても着実に効果が上がってきており、ブランドとしての認知度の高まりとともに安定的な成果へとつながってきています。


現地のお客様からは、

「親切で落ち着いた雰囲気のおかげで、初めてでもリラックスして選べた」

「アレンジの要望を丁寧に汲み取り、イメージ通り以上の仕上がりだった」

といった温かい声を多くいただいており、ithが大切にしてきた“たくさんよりも、ひとつをたいせつに”というコンセプトが、国境を越えて共感を呼んでいます。


(GoogleReviewより抜粋)


今後の展望— アジアに向けたクラフトカルチャーのハブへ

ith Singaporeは立ち上げからここまでの足取りを踏まえ、ブランドの核とも言える

「体験価値 × ジャパンクラフト × カスタマイズ」 をさらに深く、広く届けていくフェーズへと入っていきます。

そのために以下のような取り組みを進めていきます。

①ith独自の顧客体験のさらなる向上

これまで同様に、ithが提供してきた顧客体験をさらに磨いていきます。結婚指輪/婚約指輪自体のオーダーメイド力を高めると同時に、事例にも挙げた日本とシンガポールをまたぐようなプロポーズ応援などをサービスとして強化するなど指輪づくりにとらわれない体験価値創造を通じて、「意味をつくる」というithの価値を高めていきます。


②ジャパンクラフトの振興

大変好評だった SingaporeBrides Wedding Fairでの職人によるプレゼンテーションをさらに拡張し、2026年は顧客自身が体験できるような手作りサービスなども加えながら、日本のものづくり自体をさらに楽しみ、理解できるような取り組みを推進していきます。


③ASEANマーケットへの視野拡張

さらに数年度を見据えた取り組みとして、多民族国家シンガポールで得たインサイトと運営ノウハウを、 ASEAN各国へのブランド展開の基盤として活かしていきます。

 またアーツアンドクラフツでは、今回ご紹介した自社ブランド事業の他に他社向けのコンサルティング&ソリューションも手掛けており、同業他社や他業界の事業者からもシンガポールやASEAN地域への進出・事業展開の相談依頼を受けています。

シンガポールアトリエは、顧客接点(Customer Hub)、ジャパンクラフトの発信(Craft Hub)、今後の国境をまたぐ事業拠点(Bussiness Hub)として、日本とアジアをつなぐ重要拠点として事業推進を図っていきます。




■「ith」について



ith(イズ)は、“One Story. One Ring. /たくさんよりも、ひとつをたいせつに”がコンセプトのオーダーメイドの結婚指輪 ジュエリー工房です。

2014年にith代表である高橋亜結が立ち上げた吉祥寺の小さなアトリエから始まり、2025年現在では国内10カ所とシンガポール・台湾2カ所にアトリエを展開しています。指輪づくりのプロであるつくり手がお客様それぞれのストーリーやご要望を伺いながらオンリーワンのデザインを一緒に紡ぎあげ、国内の優れた職人の手で高品質の洗練されたジュエリーとしてひとつひとつ大切にお仕立てします。

世界にひとつのストーリーや想いを表現したジュエリーが、お二人と共に美しい時を重ねていきますように。

HP:https://www.ateliermarriage.com/

Instagram:https://www.instagram.com/ith_marriage/

運営会社:アーツアンドクラフツ株式会社 https://www.arts-crafts.co.jp/




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