今年度補正予算案をめぐる11日の衆院予算委員会の審議の中で、政府の物価高対策の柱である重点支援地方交付金の使途のあいまいさや使用期限などをめぐって、立憲民主党議員が黄川田地方創生相を追及し、高市首相が助け船を出す場面があった。

立憲の井坂議員は、政府の補正予算案について「国民向け、とりわけ中低所得者向けの支援が少なすぎる。物価高に苦しむ中低所得者向けの支援をもっと増やすべきではないか」と訴えた。

その上で、「政府は、自治体経由で物価高対策を行う重点支援地方交付金のうち4000億円を食料品の物価高対策に使う特別加算枠としている。ただ、これは本当に食料品に使われるのか、何に使って良いのか大臣の答弁が二転三転して、はっきりしない。自治体も困っている」と指摘した。

さらに黄川田大臣に対し、「例えば、食料品の物価高対策のための特別加算で水道料金の減免をしていいのかダメなのか。水道料金の減免を特別加算でやって良い場合とダメな場合の線引きはどうなってるのか」と質した。

黄川田大臣は、「水道料金の引き下げについては推奨事業メニューに明記していて、市町村において生活者に対する食品の物価高騰についての家計への直接的な支援などを念頭に置いている」とした上で、「この特別加算を水道料金の引き下げなどを通して生活者支援に使いたいという自治体があれば、政府において相談に応じて柔軟に対応することとしていきたい」と述べた。

井坂議員は「よくわかんないんですよ。じゃあ自治体が(予算が)足りないので、特別加算枠も水道料金の減免に使いますと相談してきたら、それはもう全部認めるということでいいんですね」と尋ねた。

黄川田大臣は「今、申し訳ている通り交付金の予算が不足するなどの事情により、この特別加算を水道料金の引き下げなどを通じて生活者支援に使いたいという自治体があれば、政府において適宜、個別的に柔軟に対応していきたい」と答弁を重ねた。

これに対し井坂議員が「適宜柔軟にということは相手によって、あなたはいいけどあなたはダメとか個別対応するんですか」と確認すると、黄川田大臣は「繰り返して申し訳ないが、政府において相談に応じ柔軟に対応することとしていきたい」と述べた。

これを受け枝野予算委員長が黄川田大臣に、「使えるか使えないか、端的にお答えを」と再答弁を促すと、黄川田大臣は、重点交付金で水道料金支援を使った上で特別加算枠においても使いたい自治体があった場合に「政府において相談に応じ、柔軟に対応することとしたい」と述べた。

同様の答弁を繰り返す黄川田大臣に、野党席から不満の声が噴出する中、高市首相が見かねて手を挙げて答弁に立ち、「足りない場合、柔軟に対応すると大臣がお答えしたということは、使えるということでございます」説明した。

井坂氏は「大臣には最初からこういうふうに明確に答えていただきたい」と述べ、続いて、交付金を使って配布する場合のおこめ券などの使用期限にテーマを移した。

井坂氏は「期限の問題、今やっぱり皆さん気にしている。おこめ券とか無理やり期限を設定されているが、特別加算枠は食料品のためと言いながら、現金の給付もいいということがこれまで答弁であった。現金はいつまでに何に使っていいか全く自由だが、現金給付は認めるのに、一方でおこめ券は期限を無理やり設定する。これはなんでなのか」と尋ねた。

黄川田大臣は「この重点交付金におけるおこめ券も含めて商品券等の配布事業については、使用期限を適切に設けたり、他の方法の実績等を把握したりするなど、交付金の目的が適切に達成されるよう、制度設計を行っていただく必要がある。期限が設けられていない現金についても、地域の事情に応じて適切に使用等判断していただければと思う」と答え、ヤジの中で苦笑いを浮かべた。

井坂氏は「大臣、これニヤニヤしながら答弁する内容じゃないと思う」と苦言を呈し、「おこめ券、こんなのやるかという自治体も今増えているが、せめて別に期限なしでもいいじゃないですか」と提案した。

黄川田大臣は「市町村において、他の手法と比較しても適切と判断されるような場合にあっては現金給付による支援を行っていただくことも可能だ。ただし本交付金を活用した現金給付を行う場合には、地域の実情に応じた給付目的に応じて、給付対象を合理的な範囲とするなどにより、効果的な支援となるよう留意していただくことが必要と考えている」と述べた。

井坂氏は「結局この問題は、交付金とは本来、自治体の自由に使えるものだと思う。それなのに政府が、食料品だけ、おこめ券、期限付きとどんどん縛るから、こういう矛盾に満ちた、大臣が説明もできないおかしな制度になっていると思う。原点に返って交付金も特別枠も自由にして、食料品の物価高対策は、我々提案している食料品の消費税ゼロなどで、堂々と大々的に行うべきだと思う」と強調した。

フジテレビ
フジテレビ

フジテレビ報道局が全国、世界の重要ニュースから身近な話題まで様々な情報を速報・詳報含めて発信します。

政治部
政治部

日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
総理大臣、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党、公明党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。