兵庫県西宮市で11月、日本郵便の配達員が、配送先で女性にわいせつな行為に及んでいたことが明らかになりました。
日本郵便はこの事案を「事実」と認め、「弁解の余地もございません」とコメント。「再発防止に取り組む」としていますが、日本郵便の現役配達員からは「対策には無理がある」と内部の実態を明かしました。
「newsランナー」は被害者の夫を独自取材。語られたのは、卑劣な行為の一部始終と日本郵便のずさんな対応でした。
■「恐怖で体が動かなかった」被害者を襲った恐怖
兵庫県西宮市に住む30代の男性Aさんは、「newsランナー」に妻がわいせつ被害に遭った当時の状況を明かしました。
【妻がわいせつ被害に遭ったAさん(30代)】「夫として怒りがあるし、妻も怖い思いをしたし、本当に覚えたことがないような…(自分は)あまり腹が立つような方じゃないんですけど、本当に許せなくて」
11月中旬、Aさんの妻が自宅で夕食の準備をしていると、この家に何度か荷物を配達したことがある日本郵便の配達員の男が訪ねてきました。
ネットで頼んだ商品を受け取ろうとした時、突然配達員が抱きついたのです。さらに、Aさんの妻が嫌がるのを押し切って無理やりキスまでされたといいます。
Aさんの妻が恐怖におびえながら頭をよぎったのは、部屋の中にいた幼い2人の子どものこと。
「扉が開いてる状態で、男性で中には子供がいて、中に押し入られる可能性があったし、恐怖で体が動かなかったと」とAさんは妻から聞いた状況を説明します。
■「魔が差しました。私に好意があると思っていました」と配達員の男
その状況の中、何とか振り切ることができたものの、配達員が去り際にこう言い放ちました。
【配達員の男】「また来てもいいですか」
「『また来ても良いですか』って…マジであり得へんわ。異常やとは思いますけどね」とAさんは怒りを露わにします。
インターホンのモニターには、自宅にやってきた配達員の映像が残っていました。
【妻がわいせつ被害に遭ったAさん(30代)】「これは(部屋の前に)持ってきたタイミングです。見たくないですよね。腹立つわ」
こうした証拠と合わせて日本郵便側に説明を求めると、4日後、Aさんは郵便局で配達員と顔を会わせることになりました。そこで配達員からでた弁解は…。
【配達員の男】「魔が差しました。私に好意があると思っていました。一生をかけて償います」
■在宅時でも置き配を利用、不審な配達員は担当を変えてもらうなどの対策も
防犯対策に詳しい京師美佳さんはこう、指摘します。
【防犯対策に詳しい 京師美佳さん】「(配達員によるトラブルは)最近特に増えているような傾向があります。コロナ禍以降、ネットショッピングなどを利用される方が増えました。配達員との接触も増えますので、信頼を損なわれるような事案ですので、会社としても対策をしっかりする必要がある」
そして、宅配便受け取り時の防犯対策としては以下の対策が効果的だと話しました。
・在宅時でも置き配、宅配ボックスを利用
・不審な配達員は宅配会社に連絡し、担当を変えてもらう
■日本郵便に対して「誠意見えない、たらい回し」とAさんは憤り
妻がわいせつ被害に遭ったAさんは、「日本郵便」の対応に、強い憤りを示しています。
【妻がわいせつ被害に遭ったAさん(30代)】「私は全社で対応してほしい。全社的にきっちりやるという決意を表明してほしいっていうことだけだったけど、その部分に対して誠意が見えなかった。本当にたらい回しにされて許せない」
その後、両者の交渉は決裂。Aさんは現在、警察への被害届の提出や「日本郵便」を相手取った民事訴訟など、あらゆる選択肢を検討しています。
■日本郵便は「再発防止に取り組む」 一方で現役配達員は「対策は無理」
「newsランナー」が「日本郵便」に取材を申し込んだところ、回答がありました。
【日本郵便の回答】「配達員による不適切事案があったのは事実です。(被害者への対応について)全面的に弊社に非があるものであり、弁解の余地もございません。なお配達員は先月17日付けで契約解除しています。重大なコンプライアンス違反事案であり、今後、全社をあげて再発防止に取り組んでまいります」
しかし、「日本郵便」の配達員は「会社が対策を講じても、不祥事はなくならない」と話します。
【日本郵便配達員】「『あるアパートに住んでる女性はきれいだね』とか『いつも薄着で出てくるよな』とか、そういう話を喜んでしているような連中もいなくはない。
そういう雰囲気がある現場は、犯罪を生み出す”初めの一歩”なのかもしれないなと。言いたくないけど、対策は無理なのかな」
安全な日常を脅かす配達員によるわいせつ行為。被害者に対し「日本郵便」の誠実な対応が求められています。
(関西テレビ「newsランナー」2025年12月10日放送)