街のキニナル話題をピックアップ「キニナル！」。
今回深掘りするのは、こちらの雑誌です。
ページをめくると、スーツ姿のオシャレな男性が次々に登場するんですが、モデルさんではなく、富山の企業の経営者のみなさんです。
果たして、この雑誌の狙いとは？取材しました。
自慢の愛車と一緒にポーズをとる、スーツ姿の紳士。重機に足をかけるこちらの男性も凛々しいスーツ姿。
格好よくスーツを着こなす「オジサン」たちが写っているのは、今年夏に創刊したフリーペーパー、ビースポークン。別名「スーツオヤジ図鑑」です。
この雑誌を手掛けたのは、富山と石川で、オーダースーツの専門店を経営している、藤田伸朗さん。
来店者である、企業の経営者との会話のなかから、誕生したというこの雑誌。
タイトル「ビースポークン」は、オーダースーツを意味する「bespoke（ビスポーク）」と取材対象の日常の姿、B面をかけた造語なんだそうです。
＊DEN planning藤田伸朗さん
「働き方改革とか、ビジネスカジュアルで、スーツの市場は少し下がったんですよね。でも、そのなかでもお客さんが来ていただいて、経営者が多いんですけど。そのなかでお互いの企業課題が出てきたんです。であれば、なにか一緒にクリアできるコンテンツって作れないかなというのがきっかけですね」
雑誌のテーマは、「スーツ×経営者」。街の仕立て屋が情報を発信することにより、スーツ市場を盛り上げること、そして、スーツを着る経営者の想いや生き様を伝えることが最大の目的です。
＊DEN planning藤田伸朗さん
「企業課題の中で、皆さん言われるのが、人材確保。ナノでリクルートの情報ものせるんだけど、リクルート雑誌にもしたくなかった。あらゆる情報発信誌の別の切り口からつくると、そういう形になった」
創刊号は3000部を発行。就職活動中の大学生の参考になればと、県内の大学にも配置してあります。
学生や、就職担当者からも好評で、藤田さんはかなりの手ごたえを感じています。
＊スーツオヤジ図鑑 発行者 藤田伸朗さん
「学生さんからしたら、この会社の社長ってこういう人だったんだっていう声があったり。取引先さんから見たよって言われた社長さんがいたり。いま、インスタグラムも並走してやっていて、平均して1万回は見られているんです。そういった部分では未知数の広がりをしているんじゃないかなって気がします」
雑誌で着るスーツは、藤田さんが仕立てます。
この日は、来年春に発行を目指している第3号の打ち合わせ。富山市で学習塾を経営する大山さんとスーツの生地選びです。
＊スクールIE 大山正人代表
「いま、テジタルタトゥーって嫌な意味で言われがちじゃないですか、でも年を重ねていくうえで、逆に残していきたいと思ったんですよね。ジャケットやスーツって、スイッチのオンやオフに僕はなっているんです。このオヤジ図鑑に賛同された経営者が集まってコミュニティーを開いていらっしゃる。そういう仲間たちに会えるのも楽しみだし、どういうスイッチを入れているんだろ、こういう着こなしのスイッチっていいなとか、僕は気付きとしていいなと思って」
今月はじめには第2号を発行、そして来春には石川県版を制作予定。夢はスーツオヤジ図鑑の全国展開です。
＊スーツオヤジ図鑑 発行者 藤田伸朗さん
「いくつも気付きがあるんじゃないかと思っていて。ファッション誌ではないにせよ、こういった着こなしがあるんだという視点。あとは、企業との距離感を縮める、そして社長さんの人柄、B面を知るっていうこと。いくつもの要素が集まって、見る人の行動に変わるんじゃないかなと。そういうきっかけを与えることができるかなと思っています」
この時代だからこそ、あえて紙による雑誌にこだわったそうです。
どこで配るかで、ターゲットも絞ることができるということ。何より、オヤジ世代には、手に持てる紙媒体が喜ばれる、そのため、紙は普通のフリーペーパーに比べ、上質な紙を使用しているんだそうです。
