“紀州のドンファン”と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪などに問われた元妻が、1審で無罪判決が言い渡された裁判。
きょう=8日に始まった控訴審の裁判で、検察側が請求した新たな証拠を大阪高等裁判所はすべて却下し、結審しました。
今後裁判はどうなるのか。関西テレビの司法担当キャップ・水本翔記者は、検察幹部が「検察側新証拠が採用されるかどうかが有罪判決に繋がるかどうか重要」と話していたことを説明。
その上で「検察側にとっては有利ではなかった法廷」と指摘しました。
■検察側の新証拠について裁判官は証拠採用を「却下」
【関西テレビ 司法キャップ 水本翔記者】
検察側が控訴審にあたって、新たに請求した「証拠数点」が何かは、法廷では正確に明らかにしていません。
検察側は、「証拠として提出されている資料」の作成者であるようなやりとりを裁判官としていました。
そして裁判官は一時席を外して、傍聴人から見えないところで審議をして法廷に戻ってきて、証拠を採用しないと告げました。
■検察幹部「証拠が採用されるかどうかが有罪判決につながるか重要な点」
私は検察幹部に事前に話を聞いたのですが、「新たな証拠は必ず申請する」と話していて、「直接証拠ではないが、申請しないと1審を踏襲した判決、つまり無罪判決になるから」だと話していました。
その検察幹部は、控訴審で検察の証拠が採用されるかどうかが自分たちの主張する有罪判決につながるかどうか重要な点だと話していて、そういう意味では8日の審理は検察側にとって有利な法廷ではありませんでした。
これ以上の審理は行わず、次回は判決となりますので、須藤被告も退廷の際はすこし安堵したような様子で裁判官に深く一礼をして法廷を後にしたのが印象的でした。
■須藤被告の様子は
また水本キャップは法廷での須藤被告の様子について、次のように解説しました。
【関西テレビ 司法キャップ 水本翔記者】
1審で無罪判決を受け、身体拘束されていない須藤被告は、判決まで出廷義務はありませんでしたが、開廷直前に弁護側の扉から法廷に姿を見せました。
須藤被告は検察官が主張している間は手元の資料に目を向けたり、たまに検察官を見る様子でしたが、弁護側が主張するときは弁護士をまっすぐ見ていた印象でした。
弁護側は1審判決について、「裁判員裁判に参加した一般市民が、『この社会がこの程度で有罪としてはならないと』する市民のメッセージで、控訴審は1審判決が非常識であると言えない限り破棄すべきではなく、そのような事情はない」と改めて無罪を主張しました。
(関西テレビ「newsランナー」2025年12月8日放送)