プレスリリース配信元:フィデリティ投信株式会社
日本の50歳以上の7割超が「100年人生」に少なくとも10年以上の経済的な備え不足、平均寿命ベースでは4割弱が備え不足
- グローバルでは50歳以上の42%が平均寿命に対して10年以上の経済的な備え不足
- 退職準備で「何もしていない」と回答した割合、日本は世界平均の2倍以上
- 日本では退職準備の遅れが顕著で、早期に準備を開始するための金融リテラシー向上が急務
フィデリティ投信株式会社(代表取締役社長:コルビー・ペンゾーン、本社:東京都港区、以下「フィデリティ投信」)は、フィデリティ・インターナショナルがイギリスのナショナル・イノベーション・センター・フォー・エイジング(NICA)と共同で調査し作成した、新レポート『長寿革命:新しい現実への備え(The Longevity Revolution: Preparing for a New Reality)』を発表しました。今回の調査によって、日本の50歳以上の約4割(37%)が、退職後の生活資金を平均寿命に対して少なくとも10年分不足して見積もっていることがわかりました。
このレポートは、世界13カ国・地域にわたるグローバル調査と、50歳以上の11,800人超を対象とした詳細なアンケート結果に基づいており、長寿化社会における経済的な備え不足を指摘しています。
日本はアジア太平洋地域で最も準備が遅れている国の一つ
調査結果をNICAが分析*したところ、調査対象とした国・地域全体では、50歳以上の42%が平均寿命に対して10年以上の生活資金不足に陥る可能性があることが分かりました。アジア太平洋地域全体ではこの割合は比較的低く、台湾(14%)やシンガポール(15%)が最も準備が整っている一方、日本(37%)と香港(30%)は最も準備不足との結果が見えました。
さらに、人生100年を前提にした場合、グローバル全体では約81%の人々が少なくとも10年分の生活資金の備えが不足するリスクがあります。アジア太平洋地域では香港(82%)と日本(72%)が特にその割合が高く、同地域が世界で最も高い平均寿命を誇ることを考えると、これは大きな懸念です。
2050年までに世界で約367万人が100歳を超えると予測**され、日本もその中心的な国の一つです。「100年人生」はもはや特別ではなく現実であり、退職後の生活資金不足リスクへの対応は各国・地域において急務といえます。

日本における投資リテラシーの課題と現金偏重の傾向
日本では、退職準備の一環として「投資を最大化する方法を学んだ」と回答した人はわずか9%にとどまり、グローバル平均の18%の約半分となりました。また、投資先について尋ねたところ、現金を保有している人の割合は73%と、グローバル平均の64%を上回っています。これは、日本における現金偏重の強い傾向と、資産形成における多様性の不足を示しています。
制度への不信と不十分な準備
日本の回答者の65%が「政府による十分な老後の支援は期待できない」と回答しており、公的年金制度への信頼低下が顕著に見て取れました。その一方で、「退職後の安心感を高めるために現在どのような行動を取っていますか?」という質問に対して、「何もしていない」と答えた人は31%に上り、グローバル平均(14%)の2倍以上でした。これらの回答結果からは、準備の必要性を認識しながらも、具体的な行動に移せていない現状が見えます。
経済的不安と金融リテラシー向上の必要性
「長寿に備えた準備でどの分野にもっとサポートやガイダンスが必要ですか」という問いには、日本人の43%が「経済的な備えのための計画と年金」と回答し、グローバル平均(26%)を大きく上回りました。また、「長生きしてお金が足りなくなるリスク」と「早く亡くなって貯蓄を楽しめないリスク」のどちらを恐れるかという質問では、37%が前者を選択し、グローバル平均(20%)の2倍近くとなっています。これらの結果は、金融リテラシーの向上が必要であることを示唆しています。
健康・介護への不安と将来への見通し
医療費や介護費用は、さまざまな国・地域において退職後の生活における不安要因として挙げられています。そのような中でも、「退職後の生活に対する見通し」について、退職前の日本人でポジティブと答えた人は30%にとどまり、グローバル平均(56%)を大きく下回っています。一方、ネガティブと答えた人は30%で、グローバル平均(15%)の2倍に達しました。これは、経済・健康・制度の不安が複合的に影響し、包括的なウェルビーイングが求められていることを示しています。

質問: 退職後の生活を考えたとき、あなたの見通しは以下のどれに当てはまりますか?(回答選択肢:とてもポジティブ、どちらかというとポジティブ、どちらともいえない、どちらかというとネガティブ、とてもネガティブ)
長寿社会における成功の鍵となる要因
レポートでは、人々がより充実した退職後の人生を送るための、5つのアドバイスを提示しています。
- 経済的不安への早期対処
早期の経済的なガイダンスや教育は、将来に関する不確実性やストレスを軽減し、適切な情報に基づいた選択を可能にし、長期的な自信を築く助けとなります。
- テクノロジー革新の推進
デジタルプラットフォーム、AIを活用したツール、個々のニーズに合ったガイダンスは、適切なリスク対策とともに金融リテラシーのギャップを埋め、より効果的なプランニングを可能にします。
- 健康とケアの優先
ウェルビーイングやケアのニーズへの早期対応は不可欠です。健康とケアの準備を支援することで、不確実性や不安要素を取り除き、自立を支え、生活の質を向上させます。
- 公共制度や機関の信頼構築
透明性のあるコミュニケーション、信頼できるソリューション、一貫性のある政策枠組みは、リ退職制度への信頼構築に不可欠です。
- 包括的なウェルビーイングを支援する
経済的・身体的・感情的・社会的といったあらゆる側面に対して、タイムリーかつ適切なサポートを提供することで、人々の包括的なウェルビーイングが維持され、より長く、健康で、社会とつながりをもった生活を送ることが可能になります。
フィデリティ投信 代表取締役社長 コルビー・ペンゾーンは次のようにコメントしています。
「本調査では、日本が世界有数の長寿国であるにもかかわらず、多くの人々が退職後の生活設計に十分な備えができていないことが明らかになりました。人生100年時代において経済的不安を軽減するためには、早期の準備と分散投資が重要ですが、日本では依然として現金保有率が高く、投資を含む金融リテラシーの向上が課題となっています。
フィデリティ投信では、金融リテラシー向上に向けた情報発信と、さまざまなライフステージに対応した金融ソリューションの提供を通じて、日本の皆さまが安心して充実した退職後の生活を迎えられるよう、今後も支援を続けてまいります。」
以上
本プレスリリースの内容は、フィデリティ・インターナショナルのレポート『長寿革命:新しい現実への備え(The Longevity Revolution: Preparing for a New Reality)』を一部抜粋したものです。より詳しい内容は以下ウェブサイトをご覧いただくか、下記までお問合せください。
『長寿革命:新たな現実への備え』
Fidelity International: The Longevity Revolution: Preparing for a New Reality*
フィデリティ・インターナショナル レポート: 長寿革命:新たな現実への備え
本レポートは、50歳以上の11,800人を対象に、世界13国・地域で実施された調査結果に基づいています。調査は2025年8月11日から9月11日にかけてOpinium社によって実施されました。さらに、イギリスのNational Innovation Centre for Ageing(NICA)がデータ分析を担当し、加えて2025年8月12日から9月15日にかけて、ドイツ、シンガポール、イギリスにおいて、退職者および退職前の人々を対象としたフォーカスグループ(各回10~12名)を実施しました。
*本分析では、人々が退職後に過ごすと予想される年数と、退職資金が持続すると見込む年数を比較しています。さらに、各地域の平均寿命および「100年人生」の可能性と照らし合わせることで、個人が将来に向けて経済的に過不足なく備えているか、またその差がどれほどかを評価しています。
なお、調査参加者は具体的な数値ではなく範囲で回答しているため、イギリスのNational Innovation Centre for Ageing(NICA)が統計モデルを用いて、各回答範囲における最も可能性の高い値を推定しています。
**出典:Pew Research Centre(2020年3月)
お問い合わせ先:
フィデリティ投信株式会社 コーポレート・コミュニケーションズ
TEL: 03-4560-6130 E-mail: FIL-JapanPR@fil.com
■ フィデリティ投信について
フィデリティ投信株式会社は、独立系資産運用グループのフィデリティ・インターナショナルの一員として、投資信託および、企業年金や機関投資家向け運用商品やサービスを提供する資産運用会社です。1969年に外資系運用会社として初めて本邦に拠点を設け、日本企業の調査を開始。1990年より日本の年金向け運用業務に参入、1995年に証券投資信託委託業務免許を取得し、同年12月に最初の国内投資信託を設定しました。公募投資信託の純資産残高は約5兆8,671億円で、外資系資産運用会社では首位となっています。(2024年12月末日現在)
■フィデリティ・インターナショナルについて
フィデリティ・インターナショナルは、世界で280万以上のお客様に投資に関するソリューション・サービス、退職関連の専門的知見を提供しています。創立以来50年超、非上場で、世界で25を超える拠点で事業を展開。運用管理総資産額は約140.4兆円(8,932億ドル)に上ります。顧客は、中央銀行、政府系ファンド、大手企業、金融機関、保険会社、資産管理会社から個人まで多岐にわたります。
運用総資産額(AUM)は、資産運用ソリューション・サービス事業と合わせて約98.3兆円(6,254 億ドル)にのぼります。資産運用の専門知識と、私達独自のソリューションを組み合わせることで、より良い金融サービスの提供を目指しています。また職域および個人向け金融サービス事業では、個人、アドバイザー、経営者に世界トップクラスのさまざまな金融商品、サービスツール、管理サービスや年金関連のガイダンスを提供しています。(2024年12月末日現在。為替レートは157.16円で算出)。
当社は1946年米国ボストンで創業された「フィデリティ・インベスメンツ」の国際投資部門として1969年に設立しました。1980年に米国の組織から独立し、現在は経営陣と創業家が主要株主となっています。詳細については、https://fidelityinternational.comをご覧ください。
【注意】
当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用結果等を保証もしくは示唆するものではありません。
当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き当社に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。
フィデリティ投信株式会社 金融商品取引業者
登録番号:関東財務局長(金商)第388号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
データ提供 PR TIMES
本記事の内容に関するお問い合わせ、または掲載についてのお問い合わせは株式会社 PR TIMES (release_fujitv@prtimes.co.jp)までご連絡ください。また、製品・サービスなどに関するお問い合わせに関しましては、それぞれの発表企業・団体にご連絡ください。