12月5日、自民党と日本維新の会は、衆議院の議員定数を削減するための法案を国会に提出しました。
「衆議院の議員定数を1割を目標に削減する」というこの法案。
大きく動き始めたきっかけは10月、日本維新の会・吉村洋文代表が『サン!シャイン』に出演した際のこの発言でした。

<「サン!シャイン」2025年10月17日放送より>
日本維新の会 吉村洋文代表
「僕はやっぱりね、国会議員の定数が多すぎる。議員定数の大幅削減は絶対にやるべき。次の臨時国会、つまり今年中にやりきる」
国会でも、企業・団体献金をめぐる論議の最中高市早苗首相が次のように発言。

高市早苗首相(11月26日党首討論より):
そんなことよりもぜひ、(議員)定数の削減やりましょうよ。

提出した法案では、与野党で協議し、1割を目標に定数を削減するとした上で、
1年以内に結論を得られなければ小選挙区と比例代表合わせて45議席(小選挙区25、比例代表20)を自動的に削減する規定を盛り込んでいます。
しかし、この期限付きの規定に対して野党は強く反発。

立憲民主党・野田佳彦代表(12月6日):
一番問題なのは、特に自動削減。あのやり方は世界の中で立法上ないですよ。政権維持のためじゃないですか。

国民民主党・榛葉賀津也幹事長(12月5日):
“時限爆弾”じゃなくて、本丸どういう選挙制度にするかという論議をしなきゃダメじゃないの。

党内からも法案への異論がくすぶる中、開かれた自民党総務会では、“全会一致”で了承を取り付ける前に反対する議員の一人が途中退席。
有村治子総務会長も苦悩の色をにじませました。

自民党・有村治子総務会長(12月5日):
さまざまな意見をいただいたうえで…連立与党の…樹立の時の…公党間の約束ということの重要性に鑑みて了承をするという意思決定をさせていただきました。
議員定数削減を巡り、渦巻く与野党の思惑。
今国会の会期末が、17日に迫る中、果たして法案は成立するのでしょうか。
「削減ありき」…そもそも小選挙区は日本に合っている?
谷原章介キャスター:
「定数減」ありきというのはどう思われますか?

谷村有香氏:
どのくらいの定数がふさわしいのかという議論なしに、ただ減らせばいいというのは、例えば多様な民意が反映されなくなってしまうのではないかとか…民主主義に反するような行為というふうに見えなくもないという気がしてしまいます。
谷原章介キャスター:
小選挙区制というのは、二大政党を目指して作られた制度。実際は自民党単独でも与党を維持できなくて多党で連立をしていくという流れになっている中、小選挙区は合っているんですか。

松山俊行 フジテレビ解説委員長:
小選挙区が実態に合っていないんじゃないかっていう声が政界の中でもじわじわと出始めています。小選挙区比例代表並立制になる前は中選挙区制ということで、1つの選挙区から同じ政党の人が2人以上立候補して勝つ可能性があるというものでしたが、そこに戻した方がいいんじゃないかという声が出ている。
選挙制度全体を考えつつ議員定数削減をどうもっていくか、両方合わせて本筋の話だと思うんですよね。
本当にできる? 自民党、高市首相の“本気度”は?
――議員定数削減について、自民党の本気度は?

松山解説委員長:
あえて「45%」としてみたんですけれども。
やっぱり自民と維新の連立合意の内容に入っていたから、これは仕方なくやらなきゃいけないんだというところで、自民党がある程度進めようとはしているけれど、心の中では「なぜ今議員定数削減をやらなきゃいけないんだ」と思っている自民党議員がかなりいる。“渋々”の賛成の声の方が多い。
――高市首相の本気度は?
松山解説委員長:
高市首相は自分が総理大臣になれるかどうかっていう頃に、維新と合意を結んで連立政権ができるということになったというのを考えると、本気度はかなり高い、80%以上あると思いますね。
谷原章介キャスター:
実際に削減したらどの政党に有利になる?

松山解説委員長:
例えば吉村代表が最初言っていた「比例だけで50議席」をやってしまうと、中小の野党がものすごく比例に頼っていますからかなり打撃を受ける。そこを中和するために小選挙区25、比例20という形が自動削減の数字として出ている訳ですけれども、それでもやはり中小の野党にとってはかなり厳しい。トータルで考えるとその通り実施されても大政党が結果的には有利になる。
渡辺正行氏:
定数削減は行われるか行われないか、どう思いますか。

松山解説委員長:
まだ行われない可能性が十分ある。議論としては年を越すことになると思う。選挙制度も合わせて与野党で各会派で議論していくということになっていますが、選挙制度についてもそれぞれの立ち位置バラバラですから。1年間掛けて議論がまとまるかどうか。
仮にまとまったとしても、小選挙区の区割りをどうするのかとか、実務的な手続きを考えていくと実際に選挙制度が改革されるのは相当先になる。そうすると高市首相の任期を超えてしまうと。2027年9月の任期を超えてしまって、そこでもまだまとまってないかもしれないと考えると、なかなか実現に向けては厳しいかなと。
(「サン!シャイン」12月8日放送より)
