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プレスリリース配信元:フォーバル GDXリサーチ研究所

賃上げの狙いと業績連動をどう従業員に伝えるかが経営課題に

 Green(グリーン)とDigital(デジタル)を活用した中小企業の変革を目指すフォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区、所長:平良学)は、中小企業を対象にした「2025年度第2回 中小企業経営実態調査」を実施しました。



 生産性向上とともに賃上げを図るための支援として、従来から続く業務改善助成金の拡充や、2022年からの中小企業向け賃上げ促進税制の創設・強化など、政府による支援策が拡大しています。特に、高市総理が推進してきた「経済安全保障」と「成長戦略」でも、成長分野への再投資と企業の「稼ぐ力」強化を通じた持続的な賃上げの重要性が繰り返し強調されています。さらに、2025年6月の「骨太の方針」では「実質賃金を毎年1%程度増加させる」方針が示されており、企業の賃上げに向けた支援は近年さらに拡大しています。今回、こうした背景を踏まえ、中小企業の賃上げ状況や取り組みによる効果などに関する調査を実施しました。
【調査結果サマリー】
1.賃上げを実施できていない企業は3割
近年、最低賃金の引き上げ議論に注目が集まり、
 政府の支援も進む中、賃上げの実施率の変化は微々たるものである
2.賃上げを実施していない理由のトップは、「売上や利益が伸びていないため」が4割
 一方で賃上げを実施した企業は既に売上・利益の増加に取り組んでいる現状。
 賃上げには事業自体の成長や利益確保のため、安定した経営を行うことが重要に
3.約6割が賃上げを実施したことによる効果を感じていないと回答
 賃上げの効果を十分に感じられていない企業では、
 賃上げの目的や自社の業績との連動性が、従業員に十分に伝達されていない可能性も

【アンケート概要】
・調査主体   :フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間   :2025年9月16日~2025年10月17日
・調査対象者  :全国の中小企業経営者
・調査方法   :ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数  :1,464人
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。



Q1.あなたの会社では賃上げを実施していますか?(n=1,464)

 中小企業の経営者を対象に賃上げの実施状況を問う設問では、「2025年1月以降に実施している」が15.4%、「2025年以前から実施している」が50.9%と、6割以上の企業が賃上げを実施しているものの、いまだ33.7%の企業が実施できていないという現状がわかりました。

 昨年の9月に発表した、同じく賃上げの実施状況に関しての報告※では、「実現できている」が14.3%、「物価上昇を上回るほどではないが、賃上げは実施した」が41.7%と実施していた企業は56.0%でした。これらの結果より賃上げを実施している企業は増えているとは言うことができます。
 
 しかし、エネルギーや食料品を中心に世界的な価格上昇が続き、その後の経済回復の波に乗る形で大企業の業績回復と賃上げが進む中、中小企業にもその取り組みを促す声が経済界を中心に高まりました。特に注目されたのが最低賃金の引き上げ議論です。その結果、政府による従来から続く業務改善助成金の支援内容の拡充や、2022年からは中小企業向け賃上げ促進税制が開始され、2024年からはその内容が強化されている現状を考えると実施率の変化は小さいと言えます。

※ブルーレポート 2024年9月号
https://www.forval.co.jp/consulting/pdf/bluereport_mini_202403.pdf






Q2.賃上げを実施していないと回答した方にお伺いします。
  賃上げを実施していない理由は何ですか。(n=510)
Q3.賃上げを実施したと回答した方にお伺いします。
  賃上げを実現するために、どのような取り組みを行いましたか。(n=1,013)

 Q1で賃上げを実施していないと回答した経営者に賃上げを実施していない理由を尋ねた質問では、「売上や利益が伸びていないため」(39.9%)という回答が約4割を占め最も多く、次いで「人件費の増加が経営を圧迫するため」(24.1%)、「賃上げの必要性を感じていないため」(17.6%)が続きました。やはり、賃上げを実施するにあたっての理由として大きいのは、賃上げに対する同業界の動きや賃上げも重要ですが、賃上げをする以前に売上・利益が伸びていないために、その結果として賃上げのための資金が足りないということがわかります。

 一方で、Q1で賃上げを実施したと回答した経営者に賃上げを実現するために、どのような取り組みを行ったかを尋ねた質問では、「売上・利益の向上に向けた事業推進」(38.2%)、次いで「価格改定(値上げ)・価格転換による利益改善」(36.8%)、「取引先との価格交渉」(32.2%)と継続的な賃上げを行うためには、健全な経営とともに売上・利益を増加させ、賃上げの原資を確保しなければならないことがわかりました。

 今後もインフレ基調が続くと予想されることから、企業は成長を強く意識するとともに、適切な取引環境にも配慮し、長期的に安定した経営を行う必要があると言えます。









Q4.賃上げを実施したと回答した方にお伺いします。 賃上げを実施した理由は何ですか。(n=970)
Q5.賃上げを実施したと回答した方にお伺いします。賃上げの効果についてどう感じてますか。(n=970)
Q6.賃上げの効果があったと回答した方にお伺いします。
賃上げによって、経営や従業員にどのような効果がありましたか。(n= 409)

 賃上げを実施したと回答した経営者が賃上げを実施した理由は、「従業員の定着率や満足度を高めるため」が73.6%と群を抜いて多い回答となりました。次いで、「社会的要請や業界の流れに対応するため」(38.2%)、「経営理念や方針に基づいているため」(17.9%)、「採用競争力を高めるため」(17.3%)という結果でした。

 賃上げを実施したと回答した経営者の方に賃上げを実施した効果について尋ねた設問では、「どちらともいえない」(34.0%)、「特に効果は感じていない」(23.8%)と効果を感じられていない、また効果を見定めている企業が約6割であることがわかりました。

 また、実際に賃上げの効果を感じた経営者に対して、どのような効果を感じたかを問うと、「従業員のモチベーションが向上した」という回答が85.6%と最も多い回答となり、効果を感じた回答者は、賃上げを実施するための理由を達成していると考えられます。






 一方で、賃上げの効果を十分に感じられていない企業では、賃上げの目的や自社の業績との連動性といった背景情報が、従業員に十分に伝達されていない可能性があります。その結果、従業員が賃上げの意義を実感できず、モチベーション向上や離職率低下といった成果に結びついていない場合もあると考えられます。そのため、賃上げの目的と評価・業績連動性を明確化した上で、経営層から従業員への戦略的なコミュニケーションを徹底すべきと言えます。






フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
 
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。九州支店での赤字経営の立て直し、コンサル
ティング事業の新規立ち上げ、
全体統括を経て、2022年に新たに発足した中立の独立機関「フォーバルGDXリサーチ研究所」の初代所長に就任。
中小企業経営の実態をまとめた白書「ブルーレポート」の発刊、全国の自治体と連携し、地域の中小企業経営者に向けたDX、GXの講演、中小企業経営者向けのイベントの企画などを通じて、中小企業のGDXを世に発信している。





■コメント
 本レポートでは、中小企業の賃上げへの実施状況や実施理由、さらに踏み込んで賃上げ率やその効果などを調査しました。賃上げはいまだ約3割の企業ができていないという現状があり、その理由を問うと、最多となったのが「売上や利益が伸びていないため」が最も多いという結果となりました。
 また、賃上げを実施する企業に対し、その効果を問う設問では、効果を感じる企業が約4割にとどまりました。最多の回答は「どちらともいえない」であり、現状では効果を見定めている企業が多いと推察されます。
 社会的な要請として賃上げ圧力が高まる中、賃上げに取り組む中小企業が増えたことは評価すべきことですが、企業側の従業員確保に向けた切実な思いを従業員にも伝えるとともに、その原資をいかに確保するかが今後の継続的な賃上げを進めるうえで重要であることが調査から示されました。

■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
 日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
 フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
HP:https://gdx-research.com/






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