宮崎県新富町の航空自衛隊新田原基地で最新鋭のステルス戦闘機F−35Bの訓練が始まってから12月4日で1カ月が経ちました。

夜間の垂直着陸訓練も行われ、基地の近くでは、家の中でも1分以上の騒音が続くことが日常となっています。

(基地近くの住民 石川博己さん)
「F−35B」

(早瀬純哉記者)
「音で分かりますか」

宮崎県新富町で農業を営む石川博己さん66歳です。
自宅があるのは、新田原基地の正門の目の前。
家には国や町から補助を受けて、各部屋にはエアコンを設置、窓などには防音対策が施されています。

(早瀬純哉記者)
「よりぐっと閉められるような鍵になっているということですね。それだけですか」

(基地近くの住民 石川博己さん)
「厚みもある。ガラスの厚み。普通の冊子とは違う。二重ガラスにはなっていないけど」
「壁にも防音の綿が入っている。全部。壁の中に。天井も敷き詰めてある」

12月1日、3回目となるF−35Bの夜間飛行訓練が行われました。
石川さんが普段過ごしているリビングです。
午後5時半過ぎ、テレビを見ていると…。

(早瀬純哉記者)
「空中で止まってるみたいですね」

F−35Bの垂直着陸訓練が行われ、およそ1分半の間、家の中は騒音に包まれました。

(早瀬純哉記者)
「家もちょっと揺れますね」

(基地近くの住民 石川博己さん)
「地響きするような音でしょ」

(早瀬純哉記者)
「うん」

(基地近くの住民 石川博己さん)
「重量感のあるような」

(早瀬純哉記者)
「テレビも一切聞こえなかったですね」

(基地近くの住民 石川博己さん)
「テレビはいいが、電話がやっぱり大変」
「ちょっと待ってください。飛行機が飛んでいるので聞こえませんって」
「外とあまり変わらん」

家の中で騒音計を使って音の大きさを計ったところ、テレビがついた状態で50デシベル弱。
環境省によりますとこれは昼の住宅地と同じくらいの音の大きさです。

一方、F−35Bが垂直着陸をしているときは…
70デシベル前後で、その大きさは地下鉄の車内と同じくらい。
石川さんは、こうした音の中で日々を過ごしています。

また、防衛省によりますと、基地からおよそ3キロ離れた新富町役場の屋上で聞こえる垂直着陸時の騒音の大きさは、およそ90デシベル。

防衛省は、通常の着陸より騒音が大きくなる理由について、「排気ノズルを下に向けることなどにより、エンジンやジェット噴射の音が直接地面に伝わりやすくなるため」と説明しています。

(基地近くの住民 石川博己さん)
「夜間訓練ってF−15はずっとしていたが、新田原基地ではF−35Bは垂直着陸はしない約束のもとだったから、大変な思い。いまは」
「飛ばないでほしいと思うくらい。それじゃ訓練にならないからダメなんでしょうけど」

今年2月防衛省は緊急時以外行わないとしていた、新田原基地でのF−35Bの垂直着陸訓練を行う方針に転換しました。
10月には住民に対して訓練の回数を減らす負担軽減策も示されましたが…

(基地近くの住民 石川博己さん)
「(垂直着陸訓練の)回数は微妙。増える可能性は絶対あると思う。だって信用していない。守ってくれるといっても、いざ始まったらここは一番先に狙われるところだから、ここに住んでいる人はそこまで守られる保証はないと思う」

防衛省は、F−35B配備の理由について、「艦艇や滑走路の短い飛行場での離着陸など、柔軟な運用ができる体制を構築するため」と説明しています。

F−35Bの配備とそれに伴う日常的な騒音。
それは、新田原基地が日本の安全保障環境強化の最前線にあることを示していました。

テレビ宮崎
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