長年地域の安全に貢献した警察官に贈られる「香川県民の警察官」。残りわずかの警察人生、最後に選んだのは駐在所での勤務でした。

◆賭博店摘発に偽ブランド商品販売業者逮捕など数々の実績…「最後は初心に」と小さな町の駐在所へ

四国初!スロット機を使った賭博店を摘発。偽ブランド商品を販売した輸入品卸売業者を逮捕。20年以上、数々の事件を解決してきた捜査員が最後の勤務地に選んだのは、小さな町の駐在所でした。

(弾正原守警部補)
「地域警察官が警察官の基本。最後は初心に返って勤務をしたいと思っていた」

◆キャリアの多くは生活安全部門の「捜査員」志願して駐在所勤務に

人口約5000人、さぬき市大川町。この町の東部にある駐在所で勤務するのが、2025年の香川県民の警察官に選ばれた弾正原守警部補(58)です。

(弾正原守警部補)
「 (捜査員時代に)私服の時に装備を付けて勤務していなかったので、最初は非常に重たくて体力的にきつかったが慣れた」

松尾駐在所での勤務は、3年目。弾正原警部補は、1990年に香川県警に入り、警察人生のほとんどを生活安全部門の捜査員として勤務してきました。

定年まで残りわずかの警察人生、駐在所勤務は自ら志願したといいます。

(弾正原守警部補)
「(捜査員時代に)容疑者がいれば被害者がいるというのを実感。今の仕事は被害をなくす、減らすため何ができるか考えて一生懸命やっている」

◆巡回連絡で地域の人と直接会い「犯罪被害防止」を呼びかけ 手づくりのチラシに喜ぶ住民

この日は地域の巡回連絡へ。月に1回作成する広報誌を管内の高齢者世帯へ配ります。

(弾正原守警部補)
「特殊詐欺は今年(2025年)もかなり数が増えている。犯人は電話を切らさないようにする。電話を切って誰かに相談したり、警察に相談したりすると犯行を防げる」

(地域の人は…)
「毎月広報誌を持ってきてもらう。作るのも大変だと思うが、手元に届くとうれしい」
「なじみやすい。話しやすい人。初めて配ってくれる警察官は」

地域の人と直接会って、犯罪被害防止を呼びかける…。捜査員時にはできなかったことです。

◆「良いこと?悪いこと?」捜査員時代にはほとんど関わりのなかった子供たちとの交流も

駐在所勤務では、これまでほとんど関わりがなかった子供たちとの交流も増えました。

(弾正原守警部補)
「ここで遊ばない。危険と書いてある所に行っている。それは良いこと?悪いこと?」

(幼稚園児)「悪いこと!」

(弾正原守警部補)
「1人で水のある所には行かないようにしてください」


◆「本当に頼りになる主人」「心落ち着くことを言ってくれる」と妻からは全幅の信頼

(弾正原守警部補)
「リラックスタイム、絶対に。慣れ親しんだ家なので帰ってきた方が落ち着く」

2人の息子は独立。休みには自宅に帰り、夫婦2人で過ごすことが一番の息抜きになっているといいます。

(妻・麻里さん)
「本当に頼りになる主人。困ったことは常に相談」
(弾正原守警部補)
「解決するかは別」
(妻・麻里さん)
「心落ち着くことを言ってくれるので」
(弾正原守警部補)
「目指せ聞き上手。うまくいかないこともある」

弾正原警部補、私生活でこんな変化も…。

(妻・麻里さん)
「料理を作るのが上手になっている」
(弾正原守警部補)
「自分で作ったものを撮って送ったり。うまくできたときだけ」

◆「非常に衝撃を受けた」駐在所付近の交通死亡事故現場 地域の集まりでは交通事故防止を呼びかけ

自宅でのひと時を終え、また駐在所へ。管内では2024年、痛ましい交通事故が相次いで発生しました。

(弾正原守警部補)
「去年(2024年)7月12日に交通死亡事故が発生した場所。歩行者が車にはねられて亡くなった」

3年近く死亡事故が発生していなかったさぬき市ですが、24年7月、大川町では2件の死亡事故が発生。高齢の男女、合わせて3人が命を落としました。

(弾正原守警部補)
「地域警察官から離れて長かったので、交通死亡事故の現場に行くことはなかった。駐在所から目と鼻の先の場所で起こったことに非常に衝撃を受けて」

こうした悲惨な事故を繰り返さないため、弾正原警部補は、事故発生以降、地域の集まりでは必ず、交通事故防止を呼びかけています。

(弾正原守警部補)
「夕方出かけるときは早めにライトを付けて、スピードを控えて、事故が起こりやすいという気持ちを持って安全運転をしてもらえたら」

◆警察人生の最後に選んだのは「地域の人のために生きる日々」

地域に寄り添い、住民と向き合う…。その時間こそが、今の大きなやりがいとなっています。

(弾正原守警部補)
「地域に一番近い存在であることが大事。駐在所の警察官と顔を合わすことで、警察官が何をやっているのか、どんなことが起きているのかを知ってもらうことが大切。60歳までは今の場所にいて、地元の人に情報提供、注意喚起できる存在でいたい」

警察人生の最後に選んだ、地域の人のために生きる日々。立つ場所が変わっても果たすべき使命は変わりません。

岡山放送
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