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プレスリリース配信元:アットホーム株式会社

ー不動産市況のプロが選ぶー




不動産情報サービスのアットホーム株式会社(本社:東京都大田区 代表取締役社長:鶴森 康史 以下、アットホーム)は、「2025年の賃貸市場における4大ニュース」を発表いたします。
2025年は全国的に家賃上昇が顕著となった年でした。そこで、アットホームが注目した4つのニュースについて、改めて深掘りしていきます。
なお調査・分析は、アットホームラボ株式会社(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:大武 義隆)に委託しています。

▍不動産市況のプロが選ぶ2025年の賃貸市場における4大ニュース
1.東京23区のシングル向きマンション平均家賃が10万円超に。
2.「築古」「アパート」など低家賃物件に注目が集まる。
3.福岡市が躍進。家賃上昇率トップ3の常連に。
4.賃貸市場で外国人の存在感が高まる。


【解説】アットホームラボ株式会社 執行役員 データマーケティング部 部長 磐前淳子
家賃上昇とともに住まい探しの対象が広がった2025年。今後は不動産価格や所得の伸びがカギ。
2025年は家賃の高騰が大きな話題となり、当社データも多くのメディアで取り上げられました。特に東京23区のシングル向きマンションの平均家賃が5月に10万円を超えたインパクトは大きく、その後も最高値の更新が続いています。家賃上昇は都市部を中心に鮮明で、福岡市のように人口流入と都市開発が進むエリアでは上昇率が全国トップクラスとなり、地域の成長力が家賃に反映された一年でした。一方で、家賃負担を抑えようと「築古」や「アパート」への需要が高まり、住まい探しの対象が広がった点も見逃せません。また、入居者の多様化という観点では、外国人入居者の増加が市場を活性化させたことも特徴的でした。
家賃上昇は物価や不動産価格が上昇する限り2026年も続くと考えられます。ただし、家賃動向は実需が支えるものですので、賃上げを含む所得の推移がどうなるかも、今後の重要な注目点だと考えています。


<対象データ・定義>
◆対象データ
不動産情報サイト アットホームで登録・公開された居住用賃貸マンション・アパート(重複物件はユニーク化)
※参考として、PDFの6~7ページに都道府県別の年間平均家賃および前年比を載せています。
◆定義
・本調査では、入居者が1カ月に支払う「賃料+管理費・共益費等」を「家賃」としています。 
・コメントでは、30平方メートル 以下を「シングル向き」、30平方メートル ~50平方メートル 以下を「カップル向き」、50平方メートル ~70平方メートル 以   下を「ファミリー向き」としています。

1. 東京23区のシングル向きマンション平均家賃が10万円超に。
アットホームが毎月公表している『全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向』では、東京23区におけるシングル向きマンションの平均家賃が2025年5月に初めて10万円を超えた(図表1.)。その後も上昇が続き、2025年9月まで16カ月連続で2015年1月以降最高値を更新している。2025年9月時点で平均家賃が10万円を上回ったのは23区中13区と過半数に達した(図表2.)。
家賃上昇の要因の一つが人口流入である。図表3.で主に単身層である20~34歳を対象とした東京23区の人口移動を見ると、コロナ禍を挟んだシングル向きマンションの家賃の上昇・下落は転入超過数の推移とほぼ一致している。東京一極集中は収まる気配がなく、今後も人口流入による家賃上昇圧力はかかり続けるだろう。







2.「築古」「アパート」など低家賃物件に注目が集まる。
家賃高騰に伴い、消費者からはより安価な物件に注目が集まっている。まず、物件の築年数に注目してみると、2024年の半ばまでは、築20年までの物件の家賃は上昇する一方で、築古「30年超」の家賃はほとんど変わらず取り残されてきた(図表4.)。しかし、図表1.にあるように2025年5月に平均家賃が10万円を超えてくると、より安く借りられる「30年超」の物件にも目が向いてきており、直近では上昇幅も大きくなるなど状況に変化が見られる。



続いてアパートに注目してみる。図表5.に見られる通り、アパートの家賃はマンションより2割~4割程度安く、築浅でも7万円台で借りることができる。次に、1物件あたりの反響率指数(以下、反響)を見ると、2024年時点ではマンションの反響の方が高かったが、2025年の反響はアパートが逆転している(図表6.)。反響の24年比はアパートの方がシングル向き・カップル向きともに20ポイント以上高くなっており、消費者が家賃負担を抑えるためにより手頃なアパートに対象を広げたことの表れといえる。




3. 福岡市が躍進。家賃上昇率トップ3の常連に。
『全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向』において、平均家賃の前年同月上昇率トップ3にランクインしたエリアをみると、東京23区・大阪市・福岡市の3都市が目立つ(図表7.・2025年1~9月データ)。中でも、福岡市はシングル向き・カップル向き・ファミリー向きの3タイプ全てで毎月トップ3にランクインしており、家賃上昇が顕著となっている。



また、家賃水準が比較的近い名古屋市・大阪市・福岡市の3都市の家賃を比較すると、最も高いのは大阪市だが、福岡市は、カップル向きでは2024年10月に、ファミリー向きでは2023年2月にそれぞれ名古屋市を逆転しており、以降その差は広がっている(図表8.)。



福岡市の家賃上昇が顕著である背景には、空港・新幹線駅・港湾といった主要交通拠点が市街地に近く、コンパクトで住みやすいことが挙げられる。加えて、近年では天神ビッグバンに代表される大規模都市開発が進み、インバウンドを含む企業や人を誘引する魅力が増している。そのため、2000年以降は人口の転入超過が進んでおり、とりわけファミリー層で顕著である。名古屋市のファミリー層が転出超過傾向にあるのとは対照的で、福岡市では地域の成長力が住宅需要を喚起し、家賃上昇につながっている。

4. 賃貸市場で外国人の存在感が高まる。
国内における外国人の数は年々増加傾向にある。2012年からの在留外国人数の推移を見ると、コロナ禍で一時減少したものの2022年以降徐々に回復し、2025年6月末には過去最高の約396万人となった(図表9.)。人手不足による企業の積極的な採用が続くため、外国人数は今後もさらなる増加が見込まれる。



外国人の増加は賃貸市場においても影響が大きい。アットホームが四半期毎に公表している「地場の不動産仲介業における景況感調査」において、賃貸仲介の業況に関する不動産店の2025 年I~III期のフリーコメントを期毎に集計したところ、最も多く登場したワードは「外国人」だった。また、「外国人」を含むコメントをした不動産店の業況DIは、3期全てで『前年より業況が良い』とする50超となっており、外国人増加は業況に対し概ねプラスの影響を与えていると考えられる。



不動産会社からは、「外国人入居者数は年々増加し、今年も前年を上回っている」といった声が多く寄せられ、外国人入居者の存在感が一段と高まっていることがうかがえる。また、「外国人実習生の法人契約が増えている」「高家賃の部屋は外国籍の方が成約するケースが目立つ」など、法人契約や富裕層とみられる層の増加といった客層の変化も指摘されている。
外国人入居者の増加は賃貸市場の活性化につながる一方、生活習慣やマナーの違いにより家主の負担が大きく、受入れ可能な物件が十分に確保されていないことは課題といえる。しかし、不動産会社からは「日本語が話せれば問題ない」「多様なお客さまに対応したい」といった前向きな声も多く、契約時の丁寧な説明や入居後のフォロー、受け入れ体制の工夫によって、よりスムーズな対応が広がる可能性がある。
こうした取組みが進むことで、多様な入居者を受け入れる柔軟な賃貸市場が形成され、地域の活性化にもつながっていくことが期待される。

<参考>都道府県別平均家賃および前年比



<参考>都道府県別平均家賃および前年比




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