柏崎刈羽原発の再稼働を容認する考えを表明した新潟県の花角知事のもとに経団連のトップが訪れ、改めて再稼働の必要性を訴えた。一方、花角知事は県民に原発に対する不安感がある現状を伝え「簡単なものではない」と県民の思いへの理解を求めた。
「力強い経済実現へ」原発再稼働の重要性強調する経団連
12月1日午前、柏崎刈羽原発を訪れたのは、経団連の筒井義信会長などだ。
花角知事が再稼働を容認する考えを表明する中、筒井会長は「我が国が力強い経済を実現して行く上で、本発電所の再稼働の意味合いは極めて大きいものであり、花角知事の判断に敬意を表する次第であります」と原発の重要性を訴え、再稼働の技術的な準備が整っている6号機を視察した。
視察では、事故が起きた際に外から原子炉に注水し、内部を冷やす緊急時対応訓練などを見学。
筒井会長は「6号機についても、福島第一原発事故の教訓を踏まえて様々な事態を想定して幾重にも施された設備・対策によって充実した備えがなされていることを実感できた」と太鼓判を押した。
知事「簡単なものではない」
一方で、その安全対策などについては、県民の理解が進んでいないことが県民意識調査で明らかになっている。
午後に面会した花角知事も、「正直、この柏崎刈羽原発の再稼働については、大きく肯定的な考えの方と否定的な考えの方は分かれている。身近に原発があることに対する不安感。そこのところはぜひご理解いただきたい。簡単なものではない」と再稼働をめぐって県民の賛否が割れている現状を伝えた。
新潟県との経済連携・地域振興に意欲
花角知事の言葉に対し、筒井会長は「真摯に受け止めるべきだと思っている。住民一人一人の、まさに生活者レベルからの原子力に対する不信・不安、こういうものにしっかり経団連としても耳目を傾けていかなければならない」と話し、新潟県との経済連携に言及。

「長年にわたって首都圏の産業基盤を支え、また首都圏の人々の暮らしを支えてきていただいた。そういうことのある種の恩返し」
筒井会長はこう話し、首都圏への県産品の紹介や販路の拡大、県内への工場誘致などを見越した交流を模索していく考えを示し、花角知事も経済的な地域振興への協力を求めた。
日本の経済成長と首都圏の生活の安定を求めて原発再稼働に期待を寄せる経団連。ただ、新潟県民の意見が二分されている現状もあり、丁寧な議論が求められている。
