記録的な豪雨に見舞われ、各地で洪水被害が相次いでいる東南アジア。
インドネシアでは、孤立状態となっていた日本人のうち7人が救助されました。
広い範囲で洪水や土砂災害に見舞われているインドネシア西部のスマトラ島。
豪雨の影響により橋の崩落なども相次ぎ、上空からの映像では住宅や道路が浸水している様子が確認できます。
スマトラ島ではこれまでに502人が死亡、500人以上が行方不明となっています。
そうした中、スマトラ島のアチェ州では日本人8人が孤立状態となりました。
その状況について木原官房長官は1日朝「現地公館からすでに連絡は取れており、全員が健康で安全な状態であることを確認している。日本人がいるホテルには電気・水・食料もある」と説明しました。
孤立状態にある日本人はODA(政府開発援助)による発電所の建設に携わっているメンバーで、宿泊施設に滞在し、けが人や病人はいないということです。
外務省によると、孤立状態に陥っていた8人のうち避難を希望した7人が、日本の総領事館があり被災地から約250km離れたメダンに現地当局の手配で無事避難しました。
1人は本人の希望でアチェ州にとどまっているものの、食料の備蓄などに問題はなく、外務省と連絡も取れているということです。
一方で、被災地では住民の一部が暴徒化。
物資不足により、スーパーマーケットでは水や食料などの略奪行為が相次ぎ、治安の悪化が警戒されています。
今回は、タイ南部も“300年に一度”とされる洪水被害に見舞われました。
タイ南部の都市・ハートヤイでは市街地の道路が一面冠水。
腰まで水につかった状態で行き来する人や、ボートで避難する人々の他、完全に水没している車も見られました。
住民からは「私の知る限り、ここ数年で最悪の状態」「約4メートルの高さまで浸水して天井が崩落しました」といった声が聞かれました。
タイ南部最大の都市で“リトルバンコク”とも呼ばれ、歴史的な寺院も多くある観光スポット「ハートヤイ」。
横たわった巨大仏像がある寺院では、至る所に被害が及んでいました。
水は建物の中にまで浸入し、仏像は泥まみれ。
僧侶たちは、懸命の復旧作業に追われていました。
寺院の副住職:
ここでは水の高さが3~4メートルになりました。洪水自体は怖くなかったけど、水が引いた後起こるものが本当に心配で怖い。
タイ南部の一帯では170人が死亡し、270万人以上が被災したということです。
豪雨による被害はさらに、南アジアのスリランカでも拡大。
過去20年で最悪の被害規模となり、大統領が「国家非常事態」を宣言しました。
現地では多くの人が建物に取り残され、ボートでの救助作業が続けられていました。
現地の人は「すでに2016年のときと同じ水位で、この地域の約300軒の家が完全に水につかっています」と話しました。
当局によるとこれまでに355人が死亡、366人が行方不明になっています。
加えて、2万5000棟以上の住宅が損壊し、20万人以上が避難所に身を寄せているということです。
アジア各地に被害をもたらした記録的大雨。
各国の死者は合わせて1000人を超えています。