10月、日本人が4位に食い込み注目されたショパンコンクール。
実は“もう一つの戦い”が繰り広げられていました。

日本人調律師が明かす舞台裏です。

5年に1度開催される若手登竜門の頂点。
若いピアニストの人生を一夜で変える運命の舞台「ショパンコンクール」。

2025年は、アメリカのエリック・ルーさん(27)が優勝。
日本から、桑原志織さん(30)が4位に入りました。

その彼らが弾くピアノ。
いくつかのメーカーの中から、演奏者が1台を選んでいます。

ピアノメーカーにとっても運命の時。
キーパーソンとなるのが「調律師」です。

今回参加した大久保英質さんは、「本人も相当なプレッシャーだと思うが、ピアノもその責任を負っている。プレッシャーはすごかった」と話しました。

本大会に進出したピアニストは84人。
それが一堂に会し、提供された5つのメーカーのピアノから“自分の1台”を1人10分から15分で選んでいきます。

河合楽器製作所・大久保英質さん:
生々しい。選んでいる人の心の動きが、手に取るようにわかる。それを見ているのは、かなり精神的にはきつい。

本大会は3週間。
1次、2次、3次予選、そしてファイナルまで、調律師も過酷な生活を送ります。

河合楽器製作所・大久保英質さん:
調律の時間は本当に真夜中。コンクールが終わった大体夜10時から、翌朝7時までを5メーカーで分けて。ホテル帰って仮眠して起きて、また横になって。

ピアノ教室の先生に調律師という仕事を紹介され、この道に入ったという大久保さん。
ショパンコンクールには20代から関わり、今回が6回目。

河合楽器製作所・大久保英質さん:
人の声に近づくような音が作れたらと思って常に意識している。

その技術を、前回2位に輝いたアレクサンダー・ガジェヴさんは「ヒデミは音色を素晴らしいものに仕上げる。魔法使いのような存在」と話します。

大久保さんは今回のショパンコンクールに合わせ、完成から2年から7年になるピアノを複数選抜。

熟成のため数年前から国内外のコンクールで使用し、2025年の春先に現地・ポーランドへ輸送し、気候に慣れさせました。

そうしたかいあって、今回は選んだピアニストの人数で5つのメーカー中2位に。
挑戦は続きます。

河合楽器製作所・大久保英質さん:
夢の舞台で、自分の思っている音を作りたい。そういう憧れを持ちながら、ずっと取り組んでいる。