愛知県西尾市および安城市の特産、地域ブランドに認定されている「西尾の抹茶」を知っていますか?
その歴史は今から730余年前にさかのぼります。実相寺の境内に、開祖である聖一国師がお茶の種を植えたことに始まりました。
その後、本格的な産業として取り組まれるようになったのは明治5年(1872年)頃のことです。紅樹院住職の足立順道師が宇治から製茶技術と茶種を持ち帰ったことをきっかけに、地元農家が栽培を開始しました。
大正時代の終わり頃には、お茶の中でも抹茶の原料である「てん茶」の栽培・製造が主となり、今では西尾の特産品「西尾の抹茶」として、広く国内外に知られています。
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新茶の茶摘み作業の様子
昔ながらの伝統的な製法へのこだわり
西尾の抹茶の原料となる「てん茶」は、伝統的な「棚式覆下栽培」で栽培されます。
「棚式覆下栽培」とは、新芽が伸び始める4月頃から茶棚の上を遮光ネットで覆い、光を遮断した条件のもとで栽培する製法です。
お茶の旨み成分である「アミノ酸」は主に根の部分で作られますが、日光に当たると渋みのある成分「タンニン」へと変化します。生育時にあえて光を遮ることで、アミノ酸が豊富な旨みの強いお茶を作ります。
また、お茶の木自体が自然適応し、少しでも日光を取り入れようとするため、一般的な栽培方法のものと比べると、茶葉一枚一枚が大きくやわらかく、緑も鮮やかになります。
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昔ながらの石臼で丁寧に仕上げられている
昨今の「抹茶ブーム」により、抹茶業界全体では質よりも量が求められる傾向が強くなってきています。そのため、規模の大きな新興茶園が増え、量産できる製茶機や粉砕機など充実した設備を取り揃える流通メーカーが増えています。
そのような中、西尾では伝統的な「棚式覆下栽培」を守り続けており、その棚式覆下栽培面積は恐らく日本一を誇ると思われます。さらに、「三河式てん茶乾燥炉」や「石臼挽き」など、良質な抹茶を生産する従来の伝統製茶機器を用いて、手間ひまかけて丁寧に、何よりも質にこだわったお茶づくりに注力しています。
特許庁地域ブランド認定を目指し、西尾茶協同組合を発足
ひと言で「抹茶」と言ってもさまざまなグレードのものがあり、圧倒的に量で市場を牽引しているのは、スイーツなどに用いられる食品用途のものです。
抹茶の原料であるてん茶の生産量全国一位は鹿児島県であり、てん茶を生産している他産地のほとんどが食品用途のてん茶を生産しているのに対し、西尾、京都では茶道で供される最高級抹茶のてん茶を生産しております。量産の利かない質に拘ったてん茶なのです。
西尾で栽培された茶葉の価値を高め、知名度の向上を目指すため、平成元年(1989年)に西尾市茶業振興協議会が発足されました。その3年後の平成4年(1992年)には、西尾の抹茶創業120周年を記念し、2月6日を「抹茶の日」を制定しました。
このように積極的に活動を続けていく中で、より広く知ってもらうための足がかりとして特許庁の地域ブランド取得を目指すことに。そのため、西尾市茶業振興協議会を発展的に解散し、西尾茶協同組合を発足しました。その2年後の平成21年(2009年)に「西尾の抹茶」が特許庁地域ブランドに認定されました。
茶の分野で「抹茶」に限定したブランドは、全国でも「西尾の抹茶」が初めて。地元の生産農家、専門店、卸組合が集結した「西尾茶協同組合」で、「西尾の抹茶」の知名度アップ・販売促進に取り組んできたことが形になりました。
「お互いに利害関係を伴う間柄ながらも、それぞれの立場から意見を述べ合える。これからの『西尾の抹茶』の販売促進に向けて、最良の機関であると自負しています」と話すのは、西尾茶協同組合の代表理事 本田忠照さんです。
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西尾茶協同組合の代表理事長 本田忠照さん
西尾茶協同組合の多様な取り組み
「西尾茶協同組合」では、「西尾の抹茶の日」などお茶にまつわる恒例イベントも積極的に開催しています。
抹茶にちなんだ地域イベントを継続的に行うことで、西尾に住まう人たち一人ひとりが西尾出身者であるというアイデンティティを持つきっかけとなり、西尾が抹茶の産地であることを全国に知らしめるよい機会となっています。
たとえば、地元の小中学校で授業の一環として行われている「茶摘み」。子どもの頃から西尾のお住まいの方なら、一度は参加したことがあるはず。
「自分も子どもの頃、茶摘みをやった!」とお子さんとの会話のきっかけになったり、西尾と言えばお茶と再認識したりする機会になっています。家族や友人、地域の知人と共通の話題があるということは、想像している以上に魅力的なことかもしれません。
本田さんも「茶摘みの参加賞として、菓子パンがもらえるんですよ。余ったパンは、沢山茶葉を摘んだ人から順番にもらえるので、友達と競い合いながら一生懸命に摘んだことを今でも覚えています」と話してくれました。そんな子ども時代の思い出は、自身が西尾市民であることや、西尾出身者であることを思い出させてくれるでしょう。
今までにないオリジナルグッズの開発も抹茶というと真っ先に「茶道」を思い浮かべる人も多く、少し特別な、敷居の高いイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。その反面、茶道だけにこだわらず、より多くの人たちに抹茶を気軽にたのしんでもらいたいとの思いから、さまざまなアイデアを盛り込んだユニークな商品の開発にも取り組んでいます。
「フルーティー抹茶」は名前の通り、抹茶パウダーにミルクや、フルーツなどを混ぜたもの。抹茶単体よりも飲みやすく、手軽に抹茶風味のドリンクを楽しむことができるのが大きな魅力です。
さらに、ユニーク&SDGsの視点を取り入れた商品として「おやさいクレヨン西尾の抹茶」もあります。抹茶=食べる・飲むだけではないという発想のもと、“抹茶の色”を生かした「おやさいクレヨン」は、米と野菜から作られたクレヨン。米ぬか由来のライスワックスをベースに、収穫時に捨てられてしまう野菜の外葉などを原料にしています。抹茶以外の色も、食品の色付けに使われるものと同成分なので、もし口に入れてしまっても大丈夫。小さなお子さんにも安心です。
「地域ブランド選手権」で最優秀賞受賞
令和2(2020)年の特許庁主催「地域ブランド総選挙」では、「西尾の抹茶」が取り上げられました。抹茶に含まれるカフェインの覚醒作用とその覚醒作用を持続させるテアニンに注目。ゲーマーに対して、抹茶を飲むことでカフェインとテアニン効果で集中力を高めて持続することをアピールし、抹茶の持つ新たな一面、抹茶の持つ効能について、よりわかりやすく伝えたことを高く評価され、受賞へとつながりました。
また、郷土が誇る「信長・秀吉・家康」の三英傑をキャラクターに起用したのも、抹茶に興味を持ってもらう機会となりました。
また、郷土が誇る「信長・秀吉・家康」の三英傑をキャラクターに起用したのも、これまであまり抹茶に興味を持っていないかった人に、興味を持ってもらう機会となりました。
西尾から広く世界へ、世界的ブランドへの挑戦
国内市場に加え、海外への販路を広げていくことは、最終的に地域への還元につながります。
「西尾の抹茶」は、現在10の国と地域で商標登録を行い、さらに40カ国で100トンの取引実績があります。世界中に販路があるということは、西尾はもとより日本産の抹茶への信頼を獲得することでもあります。
さらに世界へと展開していく中で、国内と同様に西尾の抹茶の質の高さをアピールしていくことが大切です。他産地と差別化していくために、まず西尾の抹茶の質の高さを伝え、「西尾の抹茶」のポジションを獲得することで、これからの継続・発展へとつながっていきます。
タイなど東南アジア諸国でも積極的なPR活動を
今の世界的な抹茶ブームは一時的なものだと考えており、今からブームが去った後の反動が気になるところです。長く継続していけるブランドとして、ブームに左右されないオンリーワンな存在であること、またそれを築気上げていくために継続的な需要を起しつづけることが大切だと私たちは考えています。
抹茶自体の品質や味わいの良さに加え、覚醒効果のあるカフェインや、リラックス作用のあるテアニンが含まれるパワーフードとしての抹茶の魅力を伝えていきます。そのためにも、科学的に分析することにも注力していく予定です。
抹茶の持つ健康効果が、今後さらに多くの人に注目されていくことでしょう。
お問い合わせ先(メディアの方)
西尾茶協同組合
担当:奥谷
TEL:0563-57-2261
メール:nishio240@katch.ne.jp
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