今日のキニナルは「ネット炎上」を考えます。

ネット炎上とはある特定の個人や企業の行為や発言、書き込みなどに対して、ネット上で多数の批判やひぼう中傷が行われることです。

まずは街できいてみました。

Q気になったネットひぼう中傷は?

「NHK党の人が逮捕された件」

「くら寿司(での迷惑行為)個人特定まで行くのがすごい」

あふれるネットの誹謗中傷や炎上。

県内でも今年9月、ネット掲示板で面識のある女性を誹謗中傷したとして、高岡市の職員が逮捕されました。

またおととしには、回転ずしチェーンで撮影されたとみられる迷惑動画か拡散され、炎上しました。

Q使ってるSNSは?

「インスタ、LINE、TikTok」

「YouTube」

Qひぼう中傷を見たことは?

「いっぱいあります。『死んでほしい』とか」

*中国出身
「母国のほうでは日本のYouTubeみたいなサイトがあって、あのサイトのひぼう中傷はめちゃくちゃある。多分どの国でもある」

いまやネットに炎上やひぼう中傷があふれていることは常識になっていますね。

こうした中、先週、富山市でネット炎上をテーマにした講演会が開かれました。

講師を務めたのは、国際大学の山口真一准教授。

ネットの炎上などについてデータ分析などを用いて研究している、経済学者です。

テーマは、「ネットで正義を振りかざす『極端な人』の正体」炎上のメカニズムやその実態に迫る内容でした。

極端な人…ひぼう中傷などを書き込む、いわば『炎上させる人』のことですか?そうですね、山口准教授によると、炎上の件数は年間1200件、1日3件以上発生している計算です。

炎上というと、世間の大多数が攻撃しているという印象ですが…そう思いますよね、しかし山口准教授によると、実は、攻撃する人は、”ほんのごく一部”だといいます。

詳しくお話を伺いました。

*国際大学グローバルコミュニケーションセンター 山口真一准教授
「ネット炎上1件について、X(旧Twitter)上でネガティブなコメントを書いている人は、ネットユーザー全体の約0.00025%に過ぎないということが分かった。ネットユーザーの40万人に1人ぐらいの声しか実は炎上には反映されていない」

なぜ、ごく一部の声が多く見えるのか。

実はSNSには、極端な意見が増幅される特徴があるからです。

山口准教授が、あるテーマ(憲法改正)について「非常に賛成」から「絶対に反対」まで、7段階で調査し結果を分析したところ、社会とSNS上では、意見の分布が異なることがわかりました。

SNS上では、極端な意見のほうが多く発信されていたのです。

*国際大学グローバルコミュニケーションセンター 山口真一准教授
「極端で強い思いを持っている人ほど、どんどん大量に投稿する」

よく発信する「極端な人」とは一体どんな人なのでしょうか?

街で聞いたイメージは…

Qひぼう中傷する人のイメージは?
「余裕がないんじゃないか、心に。若い人かな...勝手にそういうイメージ」

「仕事をしていなさそうな...ひきこもりとか」

山口さんの研究では、意外な傾向がわかりました。

*国際大学グローバルコミュニケーションセンター 山口真一准教授
「男性であるとか、主任係長クラス以上である、あとは年収が高いとか。そういった方の方が実は炎上に参加しやすい傾向にあるということでした。無職で引きこもりでネットヘビーユーザーで…というようなステレオタイプとは異なって、実はいろんな属性の人が加害者になりうるということがわかっている」

ネットで攻撃する理由、これも意外なことに、悪意ではないといいます。

*国際大学グローバル・コミュニケーションセンター 山口真一准教授
「主にその人の中の個人的な正義感である。『許せなかったから』『失望したから』要するに相手が悪くて自分が正しい。こういった考えで攻撃するのが大半。あくまで個人の正義感」

個人の正義感からなんですね…ただ、名誉棄損や侮辱罪に問われることも少なくありません。

どんな投稿が誹謗中傷になるのか。

反対に、攻撃されやすい投稿についても聞きました。

Qどんな投稿がひぼう中傷になる?

*国際大学グローバル・コミュニケーションセンター 山口真一准教授
「その人自身や家族などを攻撃していたら誹謗中傷。「バカ」とか言葉でののしるとか、『容姿の否定』『人格の否定』こういったものが誹謗中傷に当たる」

Qひぼう中傷されやすい投稿は?

*国際大学グローバル・コミュニケーションセンター 山口真一准教授
「研究で分かっているのは政治の話題。自撮り(生活がわかる)恋人との仲良しぶりを投稿する。『ネット上で嫌な思いをしている人ほど炎上に参加する』傾向。炎上に参加している人は自分が正しいと思っているので、ひぼう中傷を書いても気づいてないというケースが多い。ですから、誰もが加害者になりうるということを認識して、その上でやはり一番大事なのは、投稿する前にまず読み返すということですね」

ネットの情報に「個人的な正義感からの怒り」を感じたら要注意ですね。

行動する前に冷静になることが重要ですね。

ネットの意見に対し「こんな意見もある」と中庸を心がけることが大切だと思います。

富山テレビ
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