富山県内のインフルエンザ流行が急速に拡大している。11月17日から23日までの1週間で確認された患者数は1定点医療機関あたり60.83人となり、警報レベルに達した先週の約2倍に増加した。例年より1カ月以上早い流行で、患者数は過去10年で最多となっている。

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全県で警報レベル超え、学校閉鎖も相次ぐ

県感染症情報センターの発表によると、県内すべての地域で警報レベルを超える状況となっている。年代別では全年代で増加しているが、特に15歳未満の子どもたちの感染が大きく増加している点が特徴だ。

この影響を受け、学校現場では感染対策が強化されている。今週に入ってからは、小・中・高校合わせて50校で学級閉鎖や学年閉鎖の措置が取られ、2校では休校措置となった。

今季のインフルエンザによる学級閉鎖等の状況 表の一番右が措置の期間(出典:富山県)
今季のインフルエンザによる学級閉鎖等の状況 表の一番右が措置の期間(出典:富山県)

早期流行の原因は「サブクレードK」変異株

例年にない早さで感染が広がる要因について、県衛生研究所の大石和徳所長は「インバウンドの増加で、色々なウイルス株が海外から持ち込まれている」と説明する。

今シーズンの流行の主体となっているのは「A香港型」で、特に「サブクレードK」と呼ばれる新たな変異株が全国的に感染を広げている。大石所長は「今年のA香港型はイコールほぼサブクレードKと考えていい」と述べている。

ただし、大石所長はインフルエンザウイルスの変異は珍しいことではなく、過度に恐れる必要はないとしている。重症化リスクについても特別な警戒は必要ないと話す。

年末年始に向けて警戒続く

大石所長は「おそらく12月中に流行がいちばん大きくなる可能性があって、流行が大きいまま年末年始に突入すると、もっと流行が大きくなる可能性がある」と警戒を促す。年末年始は人の移動が活発になるため、感染拡大のリスクが一層高まると予想されている。

「人が大きく動くので感染拡大の可能性は大きくなる。12月中の発生動向をしっかりみながら年末年始の対応をもう一度考え直す必要がある」と大石所長は強調する。

県は県民に対し、手洗いやうがい、マスクの着用といった基本的な予防対策を徹底するよう呼びかけている。また、重症化を防ぐため、ワクチン接種の検討も推奨している。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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