紅葉シーズンも終盤戦。長崎県雲仙市の温泉街周辺は温泉や喫茶店など、心安らぐスポットがいっぱい。雲仙でほっと一息、心安らぐ癒しの体験を。冬のイベント情報も!
紅葉の見頃は12月上旬まで
雲仙の温泉街を訪れたのは11月中旬。
雲仙地獄の立ち上がる湯けむりの先に、雲仙岳の紅葉が広がっていた。
温泉街から白雲の池に向かうと、色とりどりの紅葉が見られた。
湖面に映る鮮やかな景色。まるで絵画のような風景が広がっていた。
この日はまだ色付く前の葉も見られたが、雲仙の紅葉は12月上旬まで楽しめるそうだ。
「歩いて」楽しむ雲仙
白雲の池は歩いて10分ほどで一周できる。
雲仙観光局の白濵えりかさんは「車を運転していると、きれいと思っても通り過ぎてしまうことがある。歩きながらだと止まってじっくり観察することができる」と、紅葉はぜひ「歩いて」見てほしいと語った。
のんびり歩くと、雲仙岳や平成新山がのぞめる撮影スポットを見つけた。
池に映る紅葉も絶景。思い出に残る素敵な一枚を撮影することができた。
源泉かけ流し 500円の名湯
白雲の池から車で数分の場所にある「小地獄温泉館」を訪ねた。
1731年に開館し、吉田松陰も湯治に訪れたという歴史ある温泉だ。
「美肌の湯」と言われる乳白色の湯は、源泉かけ流し。41℃の一般的な湯船と、44℃のあつ湯の2種類が用意されていて、入浴料はワンコインの500円だ。
小地獄地区では2021年、記録的豪雨による土砂崩れで3人が亡くなり、1人が重傷を負う災害が発生。小地獄温泉館も3カ月間閉館を余儀なくされた。
運営する雲仙温泉青雲荘の猶塚雄斗さんは「営業再開したときには“待ってました”というお客様もいらっしゃって、頑張る糧になった。地元の方に支えられてきたこともあり、お手軽な500円で営業を続けている」と、地域との絆を大切にしている。
コロナ禍や物価高騰など厳しい環境が続く中でも入浴料は500円に据え置き、2024年1年間の来館者は4万7000人に上った。地元に愛され、温泉マニアも唸る“秘湯”だ。
移住してカフェをオープン
コーヒーでほっと一息。
2023年、雲仙観光案内所の真向かいに「UNZEN山頂珈琲」がオープンした。
店主の岡本武和さんは大のコーヒー好き。福岡の自動車会社を定年退職後、妻の美由子さんの故郷である雲仙に移住した。美由子さんの兄の店舗の一部を改装しての開業だった。
カフェの一番の特徴は、まずコーヒーの試飲ができること。「車を選ぶときに試乗するように、珈琲を選ぶときにも自分好みの一杯を探してもらおう」と、その日オススメの3種類を試飲することができる。
コーヒーカップも、雲仙焼や波佐見焼などから好きなものを選べる。
店を開くきっかけは、「登山」だった。50歳から登山を始め、山頂でコーヒーを淹れて飲むことを趣味にしてきた岡本さん。ある時、友人が「岡本さんが淹れるコーヒーはおいしいね」と言ってくれたことからコーヒーを少しずつ勉強し始め、店のオープンにつながった。「山頂珈琲」という店の名前からも、登山好きが分かる。
好きなコーヒーに囲まれて暮らす岡本さんを見て、妻の美由子さんは「サラリーマン時代にはできなかったことがたくさんできていて、とても幸せそうな顔をしている」と話す。
岡本さんが最近始めたのは、英会話の勉強だ。店を訪れる半数は外国人観光客で、店内にも英語表記の張り紙がたくさんある。
山が好きな外国人が自然を求めて雲仙を訪れるそうで「少しでも分かっていただきたいし、会話を弾ませたいから英会話を習っている」と岡本さんは話す。
2024年1年間に雲仙で宿泊した外国人観光客数は5万720人に上り、コロナ禍前の水準に近づきつつある。
秋深まる雲仙は、紅葉、温泉、選び抜かれたコーヒーで、心安らぐ癒しのスポットだ。
紅葉だけじゃない “冬も雲仙”
紅葉が楽しめるのは12月上旬までだが、冬の雲仙はまた違った楽しみがある。旧八万地獄は、地熱を体感できるスポットで、寝そべると自然の岩盤浴になる。
こたつを並べた「エコタツ」のイベントも行われ、観光客に人気だ。
2月7日から28日までは、冬のイベント「灯りの花ぼうろ」が行われる。雲仙の「霧氷」をイメージし、温泉街がイルミネーションで彩られる。
2026年2月14、21、22、28日は打ち上げ花火が上がり、冬の雲仙を一層盛り上げてくれる。秋も冬も「ほっと一息」を雲仙で楽しんでみてはいかがだろうか。
(テレビ長崎)
