常陸宮さまと妃殿下の華子さまは、9月30日、結婚60年のダイヤモンド婚を迎えられました。
この60年、お二人は温かなそして穏やかな日々を重ねてこられています。
「お見合い」でご結婚
お二人が結婚されたのは、1964年9月30日。常陸宮さま28歳、妃殿下の華子さま24歳でした。
事前にお二人が、宮内庁関係者で華子さまの親族だった方の家で会われたことがご結婚につながったこともあり、お二人のご結婚は「お見合い結婚」と報道されました。
この記事の画像(19枚)ご結婚が決まった際、華子さまは次のように話をされています。
「宮さまは大変真面目で温かいお人柄。ユーモアもある。宮さまからお指図をいただきながら、明るく温かい家庭を築き上げたいと望んでおります」
昭和天皇、香淳皇后との「朝見の儀」を終えたご夫妻は、皇居から渋谷区の常磐松の宮邸まで「結婚パレード」。沿道には約5万人もの人たちが詰めかけたそうです。
翌年1965年には、ヨーロッパ諸国など11カ国を52日間かけてご訪問。
イギリスでは2階建てバスにのり、ドイツではベルリンの壁をご覧になったご夫妻。初めての外国ご訪問は、お二人にとっても大変思い出深いものになられたことでしょう。
夫婦円満の秘訣は「いつも宮様がにこにこ」
2005年に常陸宮さまが、70歳の誕生日を迎えるのにあたり開かれた記者会見で、夫婦円満の秘訣を聞かれたご夫妻は、次のように答えられています。
華子さまは、「昔,私が何かでちょっと怒ったと申しましょうか、夫婦げんかの始まりというようなことがございました。宮様が、『何で華子が怒っているか分からない』とおっしゃったので、解説付きの生放送のように、今私がこう申し上げたら、宮様がこうおっしゃって、それで私がこう申してと申し上げたら、最後に宮様がまた、『僕にはどうしても華子がそんなに怒っているのかが分からない』とおっしゃいました。解説付きの夫婦げんかですと時間も長引きますし、これは疲れるだけですので、その時もう二度と夫婦げんかはしないと決めました。私も反省し夫婦げんかになるより、いつも宮様がにこにことしていただいた方が、よろしいのではないかと思いました」と夫婦げんかのエピソードを披露されました。
華子さまのお答えに対して常陸宮さまは、一言、「そうですね。本当のことなので」と、よくご夫妻のお人柄がわかるお答えが返ってきました。
金婚式では「つい頼ってしまう」
2014年結婚50年、金婚式の際、ご夫妻はお互いに大切なパートナーであることを次のように文書に綴られています。
常陸宮さま「今は、年相応に手足が不自由になってきましたが、それなりに務めを果たしていきたいと思います。華子が側にいてくれるので、つい頼ってしまうところがあります。二人揃って金婚式を迎えることが出来て嬉しく思います。」
華子さま「これからは、宮様のご健康に気をつけると共に自分の健康にも気をつけ,出来る限りの務めを果たして参りたいと思います。記念日をお元気な宮様と共に揃って迎えられます事を深く感謝いたします。」
60回目の結婚記念日の前日29日、華子さまは「全日本ジュニア馬場馬術大会」を観戦するため東京・世田谷区の馬事公苑を訪問されています。
1991年から日本馬術連盟の名誉総裁を務められている華子さま。
父の津軽義孝氏はいくつもの馬の関連団体の顧問や理事などに名前を連ね、ご結婚当時は「中央競馬会オリンピック準備室長」という肩書きでした。
こうしたたこともあり、5歳の時から乗馬クラブに通い、学習院女子高等科では女子馬術部のキャプテンを務められています。
この頃「馬がわたしの恋人よ」と述べられたとの報道もありました。
ご結婚直前にも、軽井沢を馬で進む姿も見せられています。
今回のご視察でも、説明者に専門的な馬の操作技術について質問し、さらに、南フランスで乗馬された際のエピソードも披露されたということです。
ご結婚60年 穏やかな日々
常陸宮さまは、ご結婚前には乗馬をされたほか、ゴルフの趣味も持たれていたといいます。
華子さまもご結婚後にゴルフを始め、ご一緒によくラウンドされたということです。
今は、ご夫妻ともお健やかにお過ごしですが、足腰に不調を抱えられています。ご結婚後に宮号を昭和天皇に賜り、「常陸宮家」が創設されて60年。東京渋谷区の常磐松の御殿にお二人で暮らし始められてから60年。
今は乗馬やゴルフは難しくなってしまいましたが、きっと60年間積み重ねられた、たくさんのお二人の思い出に浸られる一日を過ごされたこととでしょう。
【執筆:フジテレビ皇室担当解説委員 橋本寿史】