日曜安全保障、今回は、ウクライナで起きつつある新しい戦争の形、AI=人工知能の戦いに迫ります。
スウェーデン「グリペンE」ウクライナが採用
消耗戦を続けるロシアとウクライナ。軍用機もまた消耗品です。2022年に戦争が始まってからロシアは168機、ウクライナは111機の軍用機を失ったとされています。
国内で戦闘機を生産していないウクライナのゼレンスキー大統領は、11月17日、フランスから、ラファールF4戦闘機100機の調達を締結。10月には、スウェーデンの最新鋭国産戦闘機、JAS-39グリペンEを最大150機調達することで初めて合意しました。
実はこのグリペンE採用には、大きな意味があるといいます。
能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
それは「AI」の搭載です。グリペンEはパイロットとともにAIも乗せて飛ぶ極めて、珍しい実用戦闘機なんです。

AIのアシストで実現したのが、手放し状態での操縦です。さらに、ミサイル発射をAIがアドバイスするなどの能力も備えています。

スウェーデンは2025年から自国の空軍にも引き渡しを始めました。ところが発注数はウクライナの方が多いというデータがあります。
その背景とみられるのが…。

能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
スウェーデンはウクライナの戦場に注目しているのでしょう。ロシア軍との戦いを続けるウクライナ軍にグリペンEを渡せば、様々な実戦経験をAIに積ませることになるでしょう。
AIは訓練や実際の戦闘で経験を積めば積むほど学習を深め、「最適な判断」をするとされています。
能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
もしも、それをスウェーデン空軍のグリペンEのAIにコピー出来れば、ロシアの脅威に晒されているスウェーデンにとっても、代えがたいものかもしれません。
各国でも開発進む
世界では、AIを戦闘に組み込むための開発が急ピッチで進んでいます。

パイロットが乗った戦闘機に付き添うAI無人戦闘機は、アメリカでは2025年に2種類の試験機が初飛行に成功。滑走路を使用せずに離着陸する無人機も提案されているほか、日本でも研究が進められています。
各国が目指す21世紀の戦争の形。それがAI戦闘機なのです。
(「イット!」日曜安全保障 11月23日放送より)
