映画館がない小浜市で一日限りの映画祭が、22日、開かれます。映画館があった40年前、その場所は文化の発信地で地域の交流拠点でもありました。かつての賑わい復活への動きです。
小浜市にある明治時代の芝居小屋・旭座。昭和初期から戦後まで映画館としても使われていました。ここで22日、一日限定の映画祭が開かれます。
映画祭を企画した県地域おこし協力隊の大谷桃子さんは、長年、映像業界で働いていましたが、映像の力で地域活性化に取り組みたいと会社をやめ、去年11月に東京から福井に移住しました。
映画やドラマの撮影の県内誘致や支援をしながら、「嶺南地域映像文化醸成プロジェクト」を立上げ、嶺南で映像文化を育み地域を盛り上げたいと活動しています。
大谷さんは「嶺南に映像文化が足りてないなと実感している。ロケは地元の人の協力が不可欠で、映画の良さを感じて協力する気持ちに違いが出る。映画館がなくても映画っていいなと思える機会を作ることで、今後の誘致にもつながる」と話します。
小浜の駅通り商店街には、かつて映画館があり、多くの人が集い賑わった時代がありました。しかし、テレビの普及により1985年に閉館しました。
映画館は、世代間交流や地域活性化に繋がると話す大谷さんは、今回の映画祭を映画館復活への足がかりにしたいと考えています。
「集団的観賞体験というか、みんなで映画を見るという文化をもう一度体感しいいなと実感してほしい。今はシネコン(大型映画館)が増えて個性がない。芝居小屋が映画館として使えるのは大きな個性で差別化になる」 大谷さんの強い思いです。
地元の高校生や大学生も大谷さんの思いに賛同。映画館があった当時を知る市民の声を取材し、その記憶を映画祭で放映しようと準備を進めてきました。
若者たちは「映画館がない場所でみんなで映画を見る体験はすごい貴重」「今のシャッター街しか知らないので映画館があったのは意外だった。地元なので復活できるならしてほしい」と意欲的です。
「今後自分たちが賑わいを取り戻す、作っていくという役割を担っていきたいとの思いが新たに生まれているように感じる」と手ごたえを話す大谷さん。
「映画館があってみんなで映画を見るのはいいという気持ちを持って帰ってもらい、今後、小浜の賑わいが文化施設を通して新たに活性化することを期待している。できれば満席を目指したい」 大谷さんの夢が始まります。
映画祭は22日、小浜市の旭座で開かれ、洋画や日本映画など3作品が上映されます。