広島県内で広がるインバウンド需要の動きです。
去年、県内にやってきた外国人の観光客数は421万5000人と過去最多を更新しました。
去年、広島を訪れた外国人の割合を見ますと、中国よりも1位がアメリカ、2位オーストラリア、3位フランスの順で、広島は欧米の観光客のほうが全体的に多いんです。
そんな中、ビジネスチャンス拡大へ広島市内のタクシー会社が動き始めました。
その意外な場所とは…
【中西敦子アナウンサー】
「タクシー会社が新しい挑戦を始めたということなんですが、場所が海!どういうことなんでしょうか!?つながりが見えません!」
係留されてあったのは「クルーズボート」でした。
【中西アナ】
「タクシー会社・つばめ交通の新規事業と聞いて来たんですけど、船がドンと構えていますね」
【つばめ交通 営業本部 山内翔太 副本部長】
「新規事業として船を購入しまして。名前はシースワロー!つばめ交通に海をつけてそのままなんですけど…」
【中西アナ】
「かっこいいですね!海燕と書いてある!」
その名は「海燕(シースワロー)」。広島市のタクシー会社・つばめ交通は、元々英語ができるドライバーとオペレーターを増やすなど、インバウンド客の需要獲得に力を入れてきました。
その次なる一手が「陸」ではなく「海」なんです。
【中西アナ】
「実際に乗せていただきました。広いですね!」
【山内さん】
「家みたいに…」
【中西アナ】
「私住めますよ!ここで生活できます!すごいですね!皮のソファですか!」
【山内さん】
「座り心地もいいので、もしよかったら…」
【中西アナ】
「失礼します。ちょうどいい硬さで気持ちいいですね!」
【山内さん】
「ここで、みんなで座ってもらって、お客様も談笑しながら食事したりお酒を飲んだり…」
最大12人まで乗船が可能なクルーズボート「海燕(シースワロー)」。
クルージングのコースは客の要望に合わせ変更可能で、例えばホテルに近い桟橋から乗り込み直接、宮島、尾道、呉など県内の観光スポットを巡ることもできます。
すでに利用を受け付けていて、外国人観光客の反応は上々!
単なる移動手段としてではなく瀬戸内海の多島美をプライベート空間にできる、まさに特別な「もてなし」です。
「海燕」ですが、まず大きな空間にキッチン、その奥にもう1つのソファさらにさらに、寝室とトイレまで完備しています。
それだけではありません!
【山内さん】
「いいのは2階の景色だと思うので2階にもご案内します」
【中西アナ】
「2階もあるんですねお邪魔します、わー!」
【山内さん】
「広いスペースなんですけど…」
階段で2階にあがるとそこには開放的な空間が広がっていました。
気になるのは値段です。
【中西アナ】
「人数と金額の感じで言うと、具体的にどういう感じになるんですか?」
【山内さん】
「例えば4時間のコースで広島の海を堪能しようと思ったら、だいたい20万円前後」
1日プランだと価格は24万5000円。
一瞬手が出ないように感じますが、グループで乗っても金額は変わらないため、インバウンド客以外の利用も大歓迎です。
【山内さん】
「海外の人はもちろんなんですけど、広島の人にも体験してもらい、住んでいてよかったなと思ってもらえるようにしたいと思っています」
【中西アナ】
「20万円と聞いた瞬間はドキッとしましたけど、一人当たりで考えたら2万円とか3万円とかで、会社の人たちと友人と集まってだと、自分の負担はそんなにないですね」
【山内さん】
「そうだと思います」
世界的に知られた広島の名所と言えばやはり世界遺産の島・宮島、そして原爆ドームの2つですが、最近は海からも行ける新たな「スポット」に注目が高まっているといいます。
【山内さん】
「下瀬美術館さんが大竹のほうにあると思うんですけど、下瀬さんと結構お仕事をさせてもらっていまして、泊まられたお客様をそのまま宮島にお連れするだとか市内にお連れするだとか」
宮島の対岸・大竹市に、美術館と宿泊施設、レストランを併設する複合施設「SIMOSE」です。
平日・祝日に関係なく、外国人観光客は途絶えることがありません。
【フランスから】
「日本人の庭は世界一でとても貴重だ。本当に素晴らしい。いまモミジの季節だからとても美しい」
【イスラエルから】
「私たちは自然、木々の色づきや秋の景色、そして食べ物も楽しんでいます。イスラエルから6人で来て、ここを気に入っています」
宿泊は1泊2人・2食付きで最低でも16万円と安くはありませんが、平日も予約が埋まっています。
【Simose Art Garden Villa 前砂志郎 支配人】
「(宿泊は)直近で行きますと、だいたい50%国内のお客様、50%半々というバランスです。オープンして2年半3年目に入りましたけれども、明らかに構成比が上がってきている」
こちらはなんと1泊28万円以上するヴィラ「壁のない家」。
自然に溶け込む空間からは瀬戸内海を臨みます。
『海辺の建築作品に泊まる』をコンセプトに、タイプの違う別荘のような家が全部で10棟点在します。
現在、インバウンド客の多くは、ハイヤーなどでやってくるため、「クルーズボート」が浸透すれば交通渋滞の心配なく目的地まで行き来できます。
【前砂さん】
「特別感、利便性、そういったところが富裕層のゲストにおそらくニーズとして必ずある。連泊のお客様が海外のお客様で多いので、その中で、どのような旅なか、この施設の中で過ごしてもらえるか、近隣の観光地をどうまわってもらって楽しんでもらって、この広島を楽しんでもらえるかというところが重要かと思っています」
今回、タクシー会社が始めた広島ならではの海のもてなし。
移動時間も感動体験に変えることで、広島全体への相乗効果も期待できます。
【つばめ交通 営業本部 山内 翔太 副本部長】
「移動手段としては、高速船だったりとか、フェリーだったりとかたくさんあると思うんですけど、ゆっくり鳥居の前に船を浮かばせて写真を好きなだけ撮ってもらうのは、単なる移動じゃなくなる」
【中西アナ】
「移動時間がかけがえのない贅沢な時間になる。海外の人は限られた日数で旅をしないといけないから、移動時間が素敵な思い出になるというのはすごくいいことですね」
【山内さん】
「いまの言葉を僕もそのまま営業で使おうかな」
【中西アナ】
「ぜひぜひ」