鹿児島県によると、11月19日に続いて20日も霧島市で発見された野生のイノシシ1頭の死骸から、県内2例目となる豚熱ウイルスの感染が確認された。豚熱は強い感染力と高い致死率が特徴で、県内の養豚農家に緊張が走っている。

緊急防疫対策会議が開催

11月20日には緊急の防疫対策会議が開かれ、養豚農家や関係機関約180人が参加した。会議では養豚場における防護柵の再点検など衛生管理の徹底を呼びかけるとともに、イノシシが通る獣道にワクチンを散布するなどの対策が報告された。

県内では11月17日と18日に霧島市で発見された野生イノシシ2頭の死骸から豚熱の感染が判明している。豚熱は豚やイノシシの伝染病で、野生イノシシでは県内初の感染事例となる。

緊急防疫対策会議(11月20日)
緊急防疫対策会議(11月20日)
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宮崎県でも感染例相次ぐ

県内でイノシシの死骸が発見された半径10キロ圏内では、2025年に宮崎県で野生イノシシの感染例が相次いでいる。霧島市の山中で発見された1例目と2例目の距離は約3.5キロだという。

死骸発見地点から半径10キロ圏内にある県内10農場では現時点で異常は見つかっていないが、日本一の産出額を誇る鹿児島県の養豚業に感染が拡大すれば、大きな打撃となることが懸念される。県家畜防疫対策課の藏薗光輝課長は「鹿児島県は日本一の養豚県なので絶対に侵入を防いで対策を徹底したい」と危機感を示した。

鹿屋市で消石灰の配布開始

一方、88戸で県内最多となる約20万頭の豚が飼育されている鹿屋市では、養豚場の入り口や畜舎の周りに散布する消毒用の消石灰が配布された。

消石灰の配布数は飼育頭数によって異なり、500頭までは200キロ、1000頭までは400キロ、1000頭以上が600キロとなっている。

養豚農家の不安

7500頭の豚を飼育する農家は「非常に不安な状態、見えない敵と戦うから、今からまた必死に防疫、衛生管理を徹底してやりたい」と語る。さらに「万が一(豚熱が)出たら生活ができなくなるし、従業員も抱えているので皆で協力して病気が入らないようにしたい」と危機感を示した。

養豚業は鹿児島県の主要産業のひとつであり、豚熱の拡大防止に向けた取り組みが急務となっている。県と各自治体、そして養豚農家が一体となって防疫対策を徹底し、日本一の養豚県としての地位を守るための戦いが始まっている。

(動画で見る:野生イノシシ由来の豚熱、宮崎でも相次ぐ事例 自治体と農家の“見えない戦い”始まる

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鹿児島テレビ
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