広島県内のSDGsの取り組みをお伝えする「フューチャースマイルプロジェクト」のコーナー。
今回は県内の企業や教育機関などと豊かな海を取り戻すために活動する「ひろしま海の森づくりプロジェクト」。
県内の親子がアマモについて学び、かつての海の姿を取り戻すため、将来への種まきをしました。
大崎上島の沖合い。
その海の底に潜ってみると…。
魚は泳いでいますが、どこか寂しい景色にもみえます。
【大崎上島地域の海辺を守る会 円山 忠信 会長】
「35年前に(島に)帰ってきたときには、砂浜でちょっと掘ればクルマエビ、ワタリガニ、(海の中には)ギザミ、素晴らしい海だったのがいまは全然いない」
海水温の上昇や魚のすみかが減るなど、環境の変化が大きな課題となっている瀬戸内海。
そうしたなか、去年から、大崎上島の漁協などと県内各地の子どもたちや企業が連携し、海の生態系にとって重要な藻場の再生を目指すプロジェクトが進んでいます。
今年もおよそ100人が集まりました。
再生を目指す 海のゆりかご 「アマモ」。
浅瀬に群生する『海の草』は魚の餌場や産卵場所になり、豊かな漁場に欠かせない存在でした。
しかし、この30年の間に瀬戸内海全体では7割のアマモ場が激減。
大崎上島周辺でも10年ほど前から減少したといいます。
今回のイベントでは、地元の広島商船高専の学生が手作りの冊子を使って、アマモの重要性を解説します。
島外からきた参加者たちも熱心に聞き入ります。
その中には…。
【広島商船高専 5年生 中村 多花良 さん】
「アマモ場は魚の赤ちゃんに優しい生活場所です。敵に見つかりにくくする効果や、潮の流れを弱くして流されないようにする効果があります」
プロジェクトの推進大使である「STU48」の兵頭葵さんと谷口茉妃菜さん。
谷口さんは今回が初めての参加です。
【広島商船高専 5年生 中村 多花良 さん】
「みんな緑を大切にしようとよく聞くと思うが、海はその緑よりも18%多く、海のほうが多く二酸化炭素を吸収してくれている。だからもっと海のほうにも目を向けて、アマモは大事にしないといけないと思ってほしい」
アマモはワカメのような海藻とは違い、陸に生えている植物と同じ分類に位置づけられます。
アマモが増えるメリット、それは魚の産卵場ができるだけではありません。
【プロジェクト推進大使(STU48)谷口 茉妃菜 さん】
「知っていたこともあれば、そうなんだと思うこともめっちゃある。でも子どもたちがすごく詳しくて勉強になった」
座学に続いて行ったのは…。
【スタッフさん】
「大きなゴミをよけていただいて…、どんどんふるっていきます」
【STU48 谷口さん】
「これがアマモ?」
【スタッフさん】
「これ!この白い粒の小さいやつ」
【STU48 谷口さん】
「これか!」
アマモの種の採取・選別。
手作業で水を入れ替えながら泥を落とすため、楽な作業ではありません。
【STU48 谷口さん】
「好きなの?こういうことするの?」
【島外から参加した小学生】
「はい!」
【STU48 兵頭さん】
「いいね!」
【島外から参加した小学生】
「アマモのことを知らなかったが知りたくなって来ました」
【STU48 谷口さん】
「実際体験してみてどう?」
【島外から参加した小学生】
「この(ゴミなどを)取り除くのが大変」
【STU48 兵頭さん】
「これこれ!これ全部アマモの種だよ!」
県内のさまざまな企業や大学などが共に進めるこのプロジェクト。
【伯和ビクトリーズ 池田 侑矢 マネージャー】
「昨年のアマモの活動で魚が増えたという話を聞いたので、すごい!それが嬉しく思う。今回の活動で、より魚が増えて大崎上島が盛り上がればなと思う」
【さいきじんクリニック.齋木 豊徳 理事長】
「初体験ですけど、なかなか地道な作業で…。僕らが地球環境に、もうちょっと関心を持たないといけないのかなと思う。次世代を担うのは子どもたちなので、そういうお子さんたちのためにいい世界をつくるのが僕たちの仕事じゃないかと思っている」
また、今回の参加者には環境省中国四国地方環境事務所の職員も…。
【環境省 中国四国地方環境事務所 友井 彰一 脱炭素地域づくり専門官】
「すごくいい取り組みだなと思った。今後はきれいで豊かな海ということに向けて、地域のみなさんと連携して取り組んでいけたらと思っている」
様々な思いを持った参加者たちがこの日最後に取り組むのは、アマモの『種まき』です。
何やら先ほど選別した種を白いもので包んでいます。
【参加した子ども】
「これ完成したら海の中投げるんでしょ?」
「皆で投げるよ」
「すごいな~」
その正体は水に溶ける『紙粘土』。
波に流されやすい種が浅瀬で根をはりやすくするための工夫です。
【プロジェクト推進大使(STU48)兵頭 葵 さん】
「あとは投げるだけですね。投げるのがちょっと苦手なので(笑)」
【島外から参加した小学生】
Q:いまどんなことを感じている?
A:「アマモを守ることが大切」
Qなぜ大切?
A:「魚が減るから」
【島外から参加した小学生】
「アマモのことをいっぱい知れて良かった」
アマモの種を包む団子づくり。
イベントの前日に、広島市安佐南区の商業施設でも行われました。
【親子で参加した人】
「楽しいね。子どもにいい影響を与えるキッカケになればいいかなと思って来た」
【小学5年生】
「色んな魚とかが育つような元気な海になったらいいなと思う」
今回アマモの種をまく場所の周辺は、かつてアマモなどが生い茂る豊かな藻場でした。
その姿を取り戻したいと去年も種を撒きましたが、水中にカメラを入れてみると…
まだまだ緑が生い茂るほどには至っていません。
それでも何とか定着させたいと、参加者一人ひとりが思いを込めて今年も種をまきます。
「いけ!いけ!(※投げる)よいしょー!」
投げるのが苦手と話していた兵頭さんも…。
【STU48 兵頭さん】
(※アマモの種を投げるのと同時に)「フォー!」
【STU48 谷口さん】
(※アマモの種を投げる際に…)「遠く目指そう」
【STU48 お二人】
(※アマモの種を投げながら…)「アマモ―!!育ちますように!」
【STU48 兵頭さん】
「アマモが育つことで美味しい魚もたくさん増えて、みんなが幸せに暮らせる世界になったらいいなと思う」
【STU48 谷口さん】
「瀬戸内って一番海が綺麗で、いろいろな方がきっとその景色を楽しみに来てくださる方がたくさんいると思うので、そういう場所を私たちのこういう活動で、これからも守り抜いて、色々な人が新たに来てくれるようなそんな場所をつくりたい」
【大崎上島地域の海辺を守る会 円山 忠信 会長】
「この島だけではなくて、瀬戸内海全体、日本全体、世界でやらないとこの地球温暖化(は止められない)。牡蠣が全滅とかあんな悲惨な結果にならないようにいまからやらないといけないと思っているが、この小さな島だけではなかなかまだ及ばないから、こうして(プロジェクトを通して)広まってくれればいい」