生活圏でクマの目撃が相次ぐ中、長野県の対策本部が11月14日初会合を開き、捕獲されたクマは全頭を駆除することを決めた。これまでは人などに被害を与えたクマ以外は、捕獲しても駆除せずにクマの嫌がる行為を行った上で山に返す「学習放獣」を行ってきたが、一時休止する。餌不足で冬眠が遅くなることも心配され、捕獲の強化に乗り出す。

全国で相次ぐクマの出没や被害

県庁で開かれたのは対策本部の初会合。阿部知事を本部長に部局の垣根を越えてクマへの対応を強化する。

阿部守一知事は「全国的にクマの出没、人身被害が報道され、県民の不安も高まっている。各部局、総力をあげて対応していく」と述べた。

善光寺周辺の防犯カメラに映ったクマ
善光寺周辺の防犯カメラに映ったクマ
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県内でも連日寄せられる目撃情報。

目撃件数は2025年4月から11月7日の半年間で、1145件にのぼっている。

人里や住宅地への出没も相次ぎ、10月は長野市街地でも確認された。

エサ不足で冬眠しないクマも出てくるか

そんな中、心配されるのがエサ不足の影響だ。

県環境部・小林真人部長は「今年は通報数が冬になっても下がっていない。冬眠の期間が後ろにずれているのではないか、それから冬眠しないクマも出てくるのかという状況で、非常に危険な状況だと推察される」と述べた。

11月10日、大町市に出没したクマ
11月10日、大町市に出没したクマ

餌となるドングリ類などが不作といわれるこの秋。月ごとの目撃は例年、8月、9月をピークに減少していくが、2025年は10月が最も多くなっている。

「学習放獣」を一時休止

大きな対策として決めたのは生活圏での捕獲強化。

その一つが「学習放獣」の一時休止だ。

人などに危害を加えていないクマについては、スプレーを吹きかけるなど嫌がる行為を行った上で山に返していたが、今後は、捕獲した全頭を駆除する。餌不足で再出没の恐れがあるためだ。

9月4日、千曲市で捕獲されたクマ
9月4日、千曲市で捕獲されたクマ

今後1年間の捕獲上限は675頭に引き上げる。

このほか、市町村と連携し人とのすみ分けを図るゾーニング管理やハンターの確保・育成などを強化する方針だ。

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長野放送
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