26年間続いた自公連立が終止符を打ってから1カ月あまり。公明党の電撃的な連立離脱の背景にはあったのは、「政治とカネ」を巡る問題への不信や、緊密な連携の欠如、支持者の不満、そして高市政権の人事…。関係者への取材を通じて浮かび上がったのは、何かのきっかけで破綻し得る連立政権の“脆さ”だった。

党内から反対の声も

「連立の離脱には反対の声も多い」
「政権にいることで得られるメリットがなくなっていいのか」

10月9日、公明党の会議に出席した国会議員が、オフレコで語った内容を記した取材メモだ。連立離脱の通告の前日のことだった。

党内から反対の声もあがる中、なぜ公明党は26年間におよぶ友好関係を解消し、連立離脱に踏み切ったのか。

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取材から見えてきたのは、“離脱の真相”と、新たな「連立政権」も直面するであろう課題だ。

地方と国の温度差

9日に投開票が行われた、東京都の葛飾区長選挙。

候補者の事務所を訪れると…。

記者:
たくさんの応援ポスターが貼られていますが、こちらが自民党議員から送られたもので、そしてこちらに貼られているのが公明党議員から送られたものです。

連立のたもとを分かった両党が、同じ候補を推薦していた。

両党の支援を受け再選した青木克徳区長に連立離脱の影響を聞くと、「それほど大きく影響してないという風に思っている。国政と地方はかなり違うものがある。個々に連携をしながらやってきていく」と話した。

同じ日に行われた区議選では、自民党の候補が7人落選する中、公明党は8人全員が当選した。

その1人、岩田よしかず区議は「自民党と公明党が離れたからといって、仲が悪いとかそういったことじゃなくて、やっぱり地域に密着して働いていくというところで、私は変わらないんじゃないかと思っています」と強調した。

一部の地方組織には賛否

FNNは、全国47都道府県にある公明党の地方組織の幹部に対し独自調査。連立離脱の判断に「賛成」か、「反対」か。その理由などを聞き、47都道府県全てから回答を得た。

連立離脱については、反対は1つもなかった。

「自民党の政治とカネ問題に対する対応が、あまりにも不誠実」(福島県)

「改革の姿勢を感じられなかった」(長崎県)

「賛成」の理由について、多くの県が斉藤代表と同じく、「政治とカネ」の問題を挙げていた。

一方で、「賛否両論があった」「党本部の判断だった」「やむを得ない」といった回答もあった。