8月の記録的大雨をめぐり、熊本市で河川の水位上昇を知らせるサイレンを鳴らすのが遅れた問題で、10月から検証してきた外部委員会が、11月14日に熊本市長に答申書を提出した。委員会は「多くの職員が市役所に参集したものの、指揮系統に乱れがあった」とし、「マニュアルの検証」や適切な避難に向けた「住民参加型の訓練」などを提言した。
『マニュアル検証』と『住民参加型の訓練』
検証委員会は、これまでの審議でサイレン吹鳴の遅れについて「吹鳴の基準があいまいで職員の認識に違いが生じた」などとしていた。

11月14日の検証委員会で澤田道夫会長(県立大学教授)は「想定を上回る職員が集まっていた。体制は取れていた。ただし指揮管理系統の乱れが生じた。そこについて、今回見直しを行っていただくとお願いした」と述べた。

熊本市長に提出した答申で検証委員会は、「マニュアル検証チームをつくり、来年の出水期までにマニュアルを改定」すること、そして「住民参加も含め定期的に訓練を実施する」、また「災害対応に係るスペシャリストの育成」などを提言した。

答申を受けた、大西熊本市長は「人為的なミスはあったと認められると思う。それから住民への呼びかけ。一緒に訓練をすることが十分にできていない。サイレン吹鳴だけでなくいろんなチャンネルで、これからも情報を発信していく」と述べた。
浸水の排水施設は設備のかさ上げへ
一方、同じく8月の記録的大雨で、熊本市内の2つの排水施設が機能停止した問題を検証する外部検証委員会は、14日に熊本市長に『中間答申書』を提出した。

この中で、検証委員会は中央区の坪井ポンプ場について、機能が停止した約14時間半の間に浸水深が数センチ上昇したと推定。その間、約1万500立方メートルの水が排出できなかったという。

また、西区の山ノ下排水機場については1時間に1万6200立方メートルの水を排出する能力があるものの、約5時間半にわたり停止。周辺の浸水深は数センチ上昇したとしている。

検証委員会は、再発防止策として設備のかさ上げなどを示したほか、市全域を対象に『止水版』の補助制度の導入を提案。これについて大西熊本市長は、14日に次の定例市議会に提案する考えを明らかにした。

排水施設に関しては引き続き検証を進め、2025年度中に最終答申をまとめる予定だ。
(テレビ熊本)
