水揚げをしても中身が入っていない状態のカキ。

広島県が生産量・日本一を誇る「冬の味覚」カキが今シーズン、深刻な事態に見舞われています。


【森尾水産 森尾龍也・代表】
「もうほとんど生きているカキが、3つ4つくらいしか。全部口を開けている。死んでいなかったら、大豊作なんじゃけどね」

東広島市安芸津町では、水揚げしたカキの9割以上が死滅しています。特に安芸津町から呉市にかけての海域で深刻です。

【県漁連・米田輝隆・会長】
「これだけかき筏全部が死んだというのは、まずなかったと思います。言葉で言い現すのが言いにくいけど、もう”切羽詰まっている”というのが現状だろうと思っています」

こうした中、県の水産海洋技術センターは分析結果から、今年の夏以降続いた海の高水温と高塩分の影響で、カキが弱ったとみられると見方を示しました。

県内の海では海水温と塩分濃度が例年より高くなったことで、カキの身に負荷がかかり、夏から秋にかけて大量に死んだとみられています。

県は今後、生産者と意見交換会を行うなどして対応を検討するとしています。

【県漁連・米田輝隆・会長】
「広島かきを一生懸命残すために、一生懸命頑張ってきた奴らなんですよ。それが非常に気落ちして、大変に気落ちして、元気もないとう状態になっているので、なんとか政府・県・市が最大限の援助をしてもらって、彼らにもう1回笑顔で元に戻れるような援助をしてほしいと思います」

こちらは広島湾の海水温のグラフです。

今シーズンのカキの出荷開始は、10月20日だったんですが、その直前まで25.9℃と、平年より3℃以上高い状態が続いていました。

そもそも、例年の出荷開始は10月1日だったんですが、カキは水温が下がらないと
身が太らないため、時期を後ろにずらしました。

広島県で養殖されているのは「マガキ」で、いまのように筏ではなく、元々、室町時代は川の近くで干潟に付着し育っていました。「塩分」はあまり好まない品種です。

県水産海洋技術センターによると、今シーズンは雨が少なく特に呉から安芸津周辺にかけては大きな川もないため、淡水が行きわたらず塩分が高くなったのも、カキの生育に影響した可能性があるということでした。

テレビ新広島
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