11月11日未明、札幌市の円山動物園の人気のない一角に、再びヒグマが姿を見せた。
暗闇の中で自動撮影カメラが捉えたのは、破壊された窓枠の金網にしがみつく一頭のクマ。
鋭い爪を食い込ませるようにして、窓の向こうをうかがうその姿は、まるで“狙いを定めた捕食者”のようだ。
クマが現れたのは11月11日午前0時24分ごろ。
エゾシカ・オオカミ舎から東へ約50メートル離れた「野生復帰施設」に設置された自動撮影カメラが、その瞬間を記録していた。
この施設では、2日前の9日にも異変が起きていた。窓枠の金網が突き破られ、シマフクロウのエサとして置かれていたヒヨコやホッケが消失。クマに食べられた可能性があるとみられている。
クマは一度味を覚えたエサを強く記憶し、同じ場所に何度も現れることがあるという。
今回も、高さ3メートルを超える柵を乗り越え侵入を試みたとみられており、その執念深さがうかがえる。
今回、シマフクロウは安全な場所へ避難しており、無事だった。
動物園周辺では、10日夜から11日朝にかけて、クマの目撃情報や足跡が相次いでいて、札幌市は、円山公園の全域閉鎖を決定。
冬眠を前に、食料を求めて札幌中心部近くまで迫るクマに警戒が続いている。