「長野は三河のアイデンティティを体現している」(ライアン・リッチマンHC)
11月9日・10日、ウイングアリーナ刈谷で「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26シーズン B1リーグ戦」の第9節が行われ、シーホース三河は仙台89ERSに連勝。9勝6敗となり西地区3位に浮上した。
GAME1は、三河がリードを保ちながら試合は進み、3Qに仙台を突き放して101-72で快勝。角野亮伍が18得点、ダバンテ・ガードナーが26得点を記録。終盤には石井講祐の連続3Pもあり、今シーズン初の100点ゲームとなった。
大勝した翌日の試合は難しい内容になることが多い。GAME2も、三河が終始リードを保って試合は進むが、4Q残り3分を切ったところで70-66となり、どちらに勝利が転ぶかわからない展開となる。ここからのクラッチタイムで勝負強さを見せたのが、西田優大、ガードナー、そして長野だった。長野は試合終盤に2アシストを記録。そのうちのひとつが残り1分7秒のプレー。長野がディフェンスを引きつけて抜群のタイミングでパスを出し、西田優大の3Pシュートをアシスト。3ポゼッション差に突き放したこのプレーが大勢を決めた。三河は80-74でタフなゲームを勝利する。
長野はGAME1で13アシスト、GAME2で7アシスト。出場していた時間帯のチーム全体の得失点差を示す「+/−」では、GAME1で+30、GAME2で+18を記録し、これは共にチームトップ。得点力のある西田優大やガードナー、ジェイク・レイマンが目立ってしまいがちだが、今の三河に良い流れを生み出しているのは間違いなく長野誠史だ。
試合後、ライアン・リッチマンHCも長野の重要性を説く。「チームのエンジンのようにいつもハードにプレーしてくれます。サイズがなくてもパサーとしてプレーできますし、オフェンスのペースを上げてくれる役割も大きい。ディフェンスは常にハード。さらにスマートな選手でありながらも、クリエイティブさも兼ね備えている。彼が、三河のやるべきこと、三河のアイデンティティを体現しているプレイヤーだと思います」と賞賛する。
「ヨシが戻ったときに良いチームの状態であるように」(長野)
そんな長野もシーズン序盤は苦労した。昨シーズン、リーグ屈指だったセカンドユニットが機能せず、スタートのメンバーが積み上げたリードを溶かす試合が散見した。長野自身も「(プレーに)迷いはありましたね。答えが出ず、苦しい試合もありました」と認める。上手くいかない自身を鼓舞するように、コート上で顔を張ったり、胸を叩いたりするシーンもあった。
「シーズンの最初は、セカンドユニットで噛み合わない部分がたくさんありました。今は練習や試合で、自分の中でパズルのようにはめ込む作業の途中というか、この選手はこういうプレーが好きだから自分はこうしようと、理解を深めているところです。それがようやくはまってきて、個々のコンディショニングの良さも重なって、連勝につながっているんだと思います。この流れを継続できるように、映像で確認しながら選手一人ひとりの長所、短所を判断してプレーしたいと思います」
怪我で久保田義章の離脱が続き、純粋なポイントガードは実質的に長野だけ。負担はかなり大きい。過密日程で体力的にも厳しいはず。それでも長野は前を向く。
「2シーズン前、僕が怪我をして離脱したときにヨシ(久保田)がチームを助けてくれました。そのときの借りを返すというか、ヨシが戻ってくるまでにチームを良い状態にしていきたい」
次節は9勝6敗で並ぶ広島ドラゴンフライズ戦。おそらく終盤までCS(チャンピオンシップ)の枠を争うチームのひとつ。だからこそ勝ちたい。
「広島さんは去年とまったく違うチームだと思いますが、相性が悪いイメージはありません。遂行力の高いオフェンスを続ければ勝利につながると思います。あとはチームとして崩れないこと。コミュニケーションを図って、チーム一丸となって戦っていきたい。こういうハードなスケジュールはなかなかないと思うので、これを乗り越えてさらにタフなチームに成長していきたいです」