全国でクマの出没が相次ぎ、クマ鈴や撃退スプレーなどの対策グッズの需要が高まっている。アウトドア用品店では品薄状態のところもあり、代替品を案内することもあるという。現状を取材した。
クマによる人身被害の急増で対策グッズが注目
近年、クマが人が生活圏に出没するケースが増え、全国各地で目撃情報や被害が多発している。
県内でも奥越を中心にクマの目撃情報が相次ぎ、10月には勝山市でこども園付近に親子熊が居座り、県内初の緊急銃猟が実施された。クマへの警戒感は一層高まっている。
相次ぐクマの出没を受け、全国のアウトドア用品店では対策グッズの売れ行きが好調だ。
アウトドア用品を販売する福井市の「THE GATE MOUNTAIN」で販売状況を聞くと、山本陸店長は「最も売れているのはクマ鈴」と話す。
こちらの店では現在、クマ鈴の在庫はほとんどないという。この夏、北海道・知床の羅臼岳で男性がヒグマに襲われ死亡した事故をきっかけにクマ対策グッズの売れ行きが一気に伸びたというのだ。
この店でのクマ鈴を含めたクマ対策グッズの売り上げは、ここ3年右肩上がりで、今年は去年の約2倍になる見込み。オンラインでは去年の約3倍となっている。
また、客層もこれまでとは少し変わってきているという。「登山やキャンプをしない人からの問い合わせがある。今年はクマのニュースが多ので、問い合わせは増えてる」と山本店長。
全国的にクマ対策グッズの売れ行きが好調なこともあり、入荷の状況も不安定になっていて「クマ鈴は、去年はあったものがなかったりする状況」。
クマ鈴に替わるグッズを紹介
こうした中、店では鈴の替わりに滑落や迷子など登山中の緊急事態に使う「ホイッスル」もクマ対策グッズとして客に紹介している。
山本店長は「ホイッスルは小さくて軽いが大きな音が鳴る」とし「クマ鈴より大きな音が鳴り動物に自分の存在を伝えられるので、最近おすすめしてるアイテム」だという。
登山者もあの手この手で対策
クマと遭遇するリスクが高い登山者はどのような対策をしているのか、県内の山で聞くと―
「クマ鈴とクマスプレーと、たまに火薬を持っている。まあ仕方ないです。クマが住んでいるところに行くので」
「クマよけホーン(音出し装置)。ババババンという猟銃の音や、ワンワンワンというイヌの鳴き声がする」
「最近クマスプレーを買いました。品切れになるかと思い早めに買いました」
登山者はクマとの遭遇を避けるために音の出る物の他、唐辛子成分の強い刺激物を噴射するクマ撃退スプレーも携帯していた。
クマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹教授は「人気がある場所によって来るクマは稀」だとし「クマ鈴やホイッスルなど高い音でより遠くまで音が届くものが効果的」と呼び掛ける。
山の麓や緑地の近くなどに住んでいる人は、帰宅時に声を出したり手を叩いたりしてクマに対して人が近くにいることをアピールすることが良いという。
これから紅葉の季節が本格化し、山などへ出かける機会も多くなる秋。クマによる
被害を未然に防ぐためにも、事前の対策が重要だ。
