たしかに、2026年産の主食用米の生産量の目安は、需要見通しの最大値に合わせて711万トンとなり、備蓄米の買い入れ量21万トンを合わせると、732万トンになります。今年の収穫見込みの748万トンと比べると、結果として16万トンの減産にはなります。

大臣就任会見で鈴木農相は「農林水産省が価格にコミットすることは、政府の立場もあってすべきではない」「価格はマーケットの中で決まるべきもの」と話しました。つまり、前農相の方針とは違い、「米価高騰を理由にした備蓄米の放出は行わない」ということを表明しました。

備蓄米
備蓄米

その後、自民党の農業政策の会合で、鈴木農相が「需給の安定を図ることによって、価格の安定を図っていくことに(間接的に)コミットしている」と話したことについて、一部メディアでは「コミットしない」から「コミットする」と発言に微妙なブレがあると報道されましたが、「需給に応じた生産」に戻していくという趣旨は最初から一貫していると言えるでしょう。この方針に安堵した生産者は多いのではないでしょうか。

価格はしばらくは高止まりか

今年の新米の買い取り価格が高かったのは、先を見通せない不安からお米を確保しようとした業者やJAの集荷合戦が理由だったと言われています。農家から高く買い取ったお米を安く売ってしまっては米卸や米屋はつぶれてしまいますから、在庫量次第では徐々に下がる傾向はあるものの、しばらくは高止まりが続くと思われます。

ただ、前述の通り、主食用米の作付けが増えたことで民間在庫が増えています。

今後の買い取り価格は秋の段階よりも下がるとみられ、その流れで店頭価格も落ち着いてくる可能性もあります。

一方で、米余りによる米価の下落が心配ですが、市場放出された備蓄米59万トン分の買い戻しのほか、今年春に行われなかった備蓄米の買い入れなどが検討されているようです。