秋田・大館市にある大館国際情報学院。その校舎の中庭に、力強い楽器の音が響いている。演奏しているのは吹奏楽部。中学生6人、高校生12人、計18人の部員たちが、音楽と動きを融合させた「マーチング」に取り組んでいる。心をひとつに、金賞を目指して。
音楽と動きの融合
吹奏楽部が挑戦しているのは、ただの演奏ではない。音楽に動きを加えた「マーチング」だ。
演奏しながら隊列を変え、フォーメーションを整えるこのスタイルは、音楽的な技術だけでなく、身体の動きや仲間との協調性が求められる。
部長の柳谷美優さんは「普段の演奏に加えて動きも完璧にこなさなければならないので、そこが難しい」と語る。
演奏曲に選んだのは、アメリカの「Song of Sailor and Sea」。海を渡る船乗りの冒険を描いた壮大な楽曲だ。テンポが速く、ダイナミックな展開が続くこの曲を、限られた時間の中で仕上げるのは容易ではない。
限られた練習時間 深まる絆
練習場所は校舎の中庭。授業後の1日1時間という限られた時間の中で、部員たちは互いにアドバイスを交わしながら練習を重ねる。
柳谷部長は「先輩から後輩に声をかけたり、後輩からも意見を言いやすい環境づくりをしている」と話す。年齢や経験を超えた信頼関係が、音楽にも表れている。
マーチングの指揮者であるドラムメジャーを務めるのは、高校1年生の泉瑚都子さん。
「自分が一番支えるポジションになる。ミスが許されない責任があるけれど、マーチングに花を添えられるような存在になりたい」と語り、1人で黙々と練習を続ける姿が印象的だ。
切磋琢磨し目指すは「金賞」
県大会では、力強く一体感のある演奏で観客を魅了し、東北大会への4大会連続出場を決めた。
10月に開催された東北大会では銅賞を獲得。少人数ながらも迫力ある音と息の合った動きが高く評価された。
しかし、部員たちはさらなる高みを目指している。
柳谷部長は「ことしは思うような結果が出なかったので、次の大会では金賞を取れるように、部員で切磋琢磨(せっさたくま)しあって頑張って練習したい」と力強く語る。
響き続ける希望の音
小さな中庭から響く音楽には、部員たちの努力と希望が込められている。
限られた時間、少ない人数、厳しい練習。それでも彼らは前を向き、音楽の力で自分たちの可能性を広げていく。
その音は、これからも鳴りやむことなく、未来へと響き続けるだろう。
