愛媛の伝統工芸「砥部焼」の原料をめぐって問題が
約250年の歴史を持つ砥部焼。
白磁の素地に、藍色の顔料で描かれる模様が特徴で、県内外から人気を集めています。
この砥部焼の「原料」を巡ってある問題が…
砥部焼の原料「陶石」が受注停止に
内木敦也キャスター:
「こちらが砥部焼の原料を作る工場です。現在は重機が動いていますが、今月で受注を停止するということです」
砥部焼の原料に使われる「陶石」を現在、唯一採掘し販売している伊予鉱業所が今月16日、卸先の砥部焼協同組合に10月31日を最後に受注を停止することを伝えたというのです。

「社長の体調不良で継続が困難」受注停止の理由を語る
取材に応じた伊予鉱業所の入舟訓三会長は社長の体調の悪化が受注停止の理由だと説明します。
伊予鉱業所・入舟訓三会長
「社長の体調不良ということで、継続していくことが難しいというのが発端ですね」
10月31日まで受注を受け付け、11月までは対応を続けるとしています。

明日からの砥部焼まつりも「突然の報告でびっくりしている」
こちらは開催を明日に控え準備が進む砥部焼まつりの会場。
突然の知らせに砥部焼を作る当事者は困惑を隠せません。
砥部焼協同組合・松田啓司理事長
「突然の報告ではあったので正直びっくりしています。陶石が入らなくなってしまうので、それを砥部焼と言うのか言わないのかというところが問題にはなってくるとは思います」

「石は産地にとって一番大切」今後の砥部焼の在り方は
砥部焼は国の伝統的工芸品にも指定されていますが、地域で採れた陶石を65%以上含む必要があるとされていて、今回の受注の停止は砥部焼の根幹を揺るがす事態にもなっています。
砥部町五本松で「きよし窯」を営む山田公夫さんも今回の受注停止には驚いたとし、砥部焼の在り方について考えるべきではと話しています。
きよし窯・山田公夫さん
「石は産地にとっては一番大切なところですからね。どのようにこれから砥部焼が方向転換していくのか、石をもう一回採って存続するのか」

陶石採掘場を組合へ引き継ぐことも
不安が広がる砥部焼の今後。伊予鉱業所は陶石の採掘場や設備などを砥部焼協同組合へ引き継ぐことも検討しています。
伊予鉱業所・入舟訓三会長
「組合に提案したのは『このまま移行して組合が運営』していければこれから延々砥部焼は安泰じゃないかということで持ちかけた」
一方で組合側は、組合員を集めた臨時の説明会を開催し、今後の対応を話し合うことにしています。
砥部焼協同組合・松田啓司理事長
「組合員には早急に説明会を行って、臨時総会を開いていきたいと思います。砥部の陶石が重要かどうかという話し合いになるとは思います」
組合では約30トンの在庫を各窯元に卸すなど一時的に対処していて、来月中旬に臨時の総会を開き、今後の対応について協議を進めるとしています。


 
       
         
        