ベトナムから来日の技能実習生 コロナ禍で帰国できず…

日本での技能実習を終え、本来は母国に帰るはずなのに、新型コロナウイルスが原因で帰れない外国人が福岡でも急増している。

福岡・久留米市の企業で働く、ベトナム人青年の今を取材した。

技能実習生 チーさん:
ことしの11月に帰る予定です。でも、たぶん、飛行機が飛んでいないから、(ベトナムに)帰れるかまだはっきりわからないです

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3年前、ベトナムから「技能実習生」として福岡にやってきた、グエン・ズイ・チーさん(27)。

チーさんが働く久留米市の「丸信」は、ラベル印刷の世界大会で最優秀賞を受賞した印刷加工会社だ。

チーさんは、この会社で商品パッケージの「型抜き」の作業を任されているが、新型コロナによって、チーさんの仕事も大きな影響を受けている。

技能実習生 チーさん:
コロナウイルスのせいで、あまり仕事がなくて、夜勤が全部、日勤になっている

取引業者からの仕事の受注が減り、手当が付く「夜勤」のほか、「残業」がほとんど無くなってしまったのだ。

ーーできれば残業したいですか?

技能実習生 チーさん:
そうですね。したいです!

チーさんは福岡に来る前、ベトナムの送り出し機関からお金を借りている。

技能実習生 チーさん:
日本に行くために100万円ぐらいかかりました

ーー今は借金を返した?

技能実習生 チーさん:
会社のお陰で全部、返し終わりました

働き始めてから1年間は、給料のほとんどを借金返済に充てた。

そして2020年11月、3年の任期を満了し、ベトナムに帰る予定だったが、新型コロナによって帰国のスケジュールが不透明な状況に陥った。

コロナの影響で後任の技能実習生も採用できず

チーさんの指導役を務める緒方義彦さん。

技能実習生は会社にとって欠かせない働き手だけに、チーさんの後任が決まらない現状に危機感を募らせている。

丸信 緒方義彦さん:
毎年5月から6月の間にベトナムの方に行くか、もしくはWEBで面接をしていたんですけど、ちょうどコロナの影響で、それができなくなった状態で、新しく入国する技能自習生たちが、今のところ新規の実習生はいません

「ベトナムでは今、日本に行くために借金を背負ったものの、外国に出られない若者で溢れている」と、この会社とベトナムの送り出し機関の仲介役を担った男性は話す。

西日本ビジネスサポート協同組合 井上宗五郎専務理事:
今年3月からベトナムとの渡航が無理になりまして、ベトナムから日本に入る予定だった実習生が200人ほど(日本に)入ることが不可能になっている

日本で働きたくても働けない…。
そして、帰りたくても帰れない…。

ベトナムの家族を支える日々 夢は「日本語教師」

会社から歩いて5分のアパートで暮らすチーさんは、先行きが見通せない中、膨らむ生活費を少しでも抑えるため、食事はほぼ自炊している。

技能実習生 チーさん:
仕事が終わってからお風呂入って、すぐ自分で作ります

ーーきょうは何を作ってますか?

技能実習生 チーさん:
卵揚げです。豚肉炒めです。この(新型コロナの)状態が終わり次第、帰りたいと思っています。みんなからいろいろ教えていただいて、本当に勉強になりました

週に一度はベトナムで暮らす親に電話する。

チーさんは給料の6割以上を仕送りし、ベトナムの家族の生活も支えている。

技能実習生 チーさん:
毎月ですね、料理のお金と生活費とか全部含めて8万円ぐらいを親に送っています。もちろん喜んでいます。健康とか注意して下さいと言われました。何回も何回もうるさく

福岡県内で働く外国人の技能実習生は約1万3,600人。
その多くが、チーさんと同じように少なからず新型コロナの影響を受け、不安な生活を続けている。

そんな状況でも、チーさんは日本語の勉強を欠かさない。

技能実習生 チーさん:
仕事、終わって疲れて本当は何もしたくないですよ。できるだけ1日1時間とか勉強を続けています。将来は日本語の教師になりたい。ベトナムでです。なんと言ってもお金を稼ぐために、そして将来のために頑張って行きたいと思います

夢への思いを原動力に、技能実習生のチーさんは、仕事と勉強に励んでいる。

(テレビ西日本)