2025年度で閉校となる坪谷小学校で、最後となる運動会が開催された。歌人・若山牧水の母校としても知られる坪谷小学校は、現在は全校児童2人。地域住民や卒業生、転校した元児童ら200人以上が集まり、世代を超えて一体となる楽しい一日となった。

最後の運動会に地域住民ら200人超

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晴天に恵まれた10月26日、宮崎県日向市東郷町にある坪谷小学校で、最後の運動会が開催された。在校生は2人だけだが、地域住民や卒業生、転校した元・坪谷小の児童など、200人以上が集まった。

世代を超えて盛り上がる競技と伝統芸能

運動会では、徒競走や障害物競争といった定番の競技に加え、日向市の無形民俗文化財に指定されている「臼太鼓踊り」が披露され、地元への深い愛着と誇りを再確認する場ともなっていた。

70代の卒業生は「みんな和気あいあいでよかった」と語り、別の卒業生は「みんなが盛り上がったからできた最後の運動会でしたね」と、懐かしさと共に開催を喜んだ。

若山牧水の母校は「短歌学習」が特色

2025年に創立149年を迎えた坪谷小学校は、かつては400人近い児童が在籍していたが、近年は児童数の減少が続き、2025年度の在校生は6年生の水野大珠さんと山口創大さんの2人だけとなった。

歌人・若山牧水の母校としても知られる坪谷小学校では、短歌が学校の特色の一つとなっており、水野さんと山口さんも短歌に親しんできた。

若山牧水の短歌

若竹の 伸びゆくごとく 子ども等よ 真直ぐにのばせ 身をたましひを

坪谷小学校6年 水野大珠さん:
牧水先生の短歌は覚えやすいとか、リズムがいいとか、いろんな点でいいと思う。

朗読劇で子供の頃の牧水を熱演

毎年9月17日の牧水の命日に開催される「牧水祭」では、水野さんと山口さんが、主人公である若山繁(後の牧水)を演じる朗読劇を披露した。

児童数の減少により、他の児童が転校していく中で、水野さんと山口さんはこの学校が大好きだという理由で、最後まで坪谷小学校に通うことを選択したという。

山口さんの母・千穂さんは「他の学校では経験できないことはたくさん経験させてもらえたと思います。(若山牧水が)いい影響を与えているかなと思います」と話す。

 地域全体で支える最後の運動会

牧水の母校であることを誇りに思い、坪谷小学校に親しみを持っているのは地域住民も同じだ。2人きりとなった後輩たちのために、運動会の準備を手伝う。

坪谷小学校卒業生:
地域をあげて、どこにも負けないような、楽しい思い出ができる体育会にしてあげたいですね。

選手宣誓では、水野さんと山口さんは「僕たち選手一同は、坪谷小学校最後の運動会を、みんなで団結して、思い出に残る運動会にすることを誓います」と力強く宣言した。

参加者たちは、閉校の寂しさを吹き飛ばすかのように大いに盛り上がり、校庭には歓声が響き渡った。

運動会を楽しむ地域の人々。

小さな子どもも真剣に応援する。

感謝の思いを胸に、閉校式へ

運動会は例年以上の参加者で大成功に終わった。

坪谷小学校6年 山口創大さん:
たくさん人が来てくれたことは、本当に嬉しかったです。本当に運動会が開催されてよかったです。

坪谷小学校6年 水野大珠さん:
(地域の人に)すごい感謝の気持ちを持って頑張りました。坪谷小にとって、みんなで最後にやり切ったと言える運動会になったと思います。

水野さんと山口さん、そして地域の人々は、坪谷小学校への感謝の思いを胸に、2026年2月に予定されている閉校式を迎える。

(テレビ宮崎)

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