1500億円を超える巨額の投資金を集めた不動産ファンド。突然、分配金の支払いがストップした。福岡の被害者への取材で見えたその実態とは…
「『金、返せ』しかないですね…」
「国も推してる。自治体も推してる。空港の方も推してる。…的な感じだったので『それなら間違いないんだろうな』って、普通に思いましたね。『金、返せ』しかないですね」と憤りを隠さないのは、福岡市在住の40代男性。この男性は1200万円を出資している。

怒りの矛先は、個人投資家向けの投資商品『みんなで大家さん』だ。
 
更に男性は「CMかインターネットで、年7%で。『そんなのがあるんだ!』と知りました。一応、問い合わせをしてみたら『リスクは最終的に、ほぼほぼ、ない』みたいな説明で…」

「『関東大震災みたいな地震だとか、津波が来た時とか、そういうことがない限りこの事業は潰れません』と言われました」と言葉を続ける。説明を信用し、男性は人生で初めての不動産投資を決意した。

その投資先が『ゲートウェイ成田』だった。千葉・成田空港傍の東京ドーム10個分の敷地に巨大スクリーンを備えた5000席のドームにショッピングモールやエリア最大級のホテルなども兼ね備えた新しい街『ゲートウェイ成田』の開発への出資を募るというものだ。

『みんなで大家さん』の商品である『シリーズ成田』への投資は、1口100万円から。年に7%ほどの分配金安定性などが謳われている。

1200万円を出資した福岡市在住の40代男性は「国の施策のなかで『インバウンドまで取り込んでいく』っていうところを含めたら、普通に経済的な部分を考えていっても成功するプロジェクトだろうと自分も捉えたし、向こう(『みんなで大家さん』側)も自信満々」と振り返る。

こうして男性は2022年以降『シリーズ成田』に合わせて1200万円を出資。年6回の分配金も問題なく支払われていた。

この福岡市の男性も含め全国の出資者が投資した金額は、総額1560億円以上に上っていた。
突然の分配金支払いストップ
ところが『みんなで大家さん』グループの代表である『都市綜研インベストファンド』の栁瀨健一社長が出資者に向けて謝罪動画をアップしたのだ。

「ご信頼を頂いた事業参加者の皆さまには、大変なご心配とご迷惑をおかけしておりますことを心から深くお詫び申し上げます」

2025年7月末から突然、分配金の支払いがストップ。代表の説明によると『みんなで大家さん』を運営するのは、大阪市の不動産会社『都市綜研インベストファンド』で、集めた出資金で『ゲートウェイ成田』の土地を購入し、土地を貸し出して得た賃料を分配金として投資家に還元してきたという。

しかし土地を貸している同じグループの開発業者からの賃料収入がストップし、分配金が滞っているというのだ。
現地はいまもほぼ更地のまま
『みんなで大家さん』のホームページでは、10月27日に千葉・成田市の建設予定地の開発工事のようすが公開されているが、更地になった現地に大きな変化はなく、重機の数も数台が見られるだけだ。

行政に提出された工事の進捗状況報告書では、当初の開業予定は2021年だったが、2025年1月時点の進捗率は僅か2.3%だ。また、2024年6月には計画の変更について出資者への説明を怠ったなどの理由で、大阪府と東京都から行政処分を受けていた。

果たして『ゲートウェイ成田』は完成するのか?『みんなで大家さん』グループは、取材に対し「山林であったところを造成しているわけですから、更地であるというのは造成工事が進んでいる証。造成工事完了の後、建築工事へと進んで参ります」と回答した。

また集めた出資金については「シリーズ成田に集まった出資金1561億円は、全て土地の購入資金に充てられています」と回答した。
分配金が遅延し始めてから約3カ月。1200万円を出資し、解約にも応じてもらえない状況が続いている福岡市の40代男性は「こっちは、あなたたちいま信用できないから、1回、ちゃんと信用できるもののお金を返してくれって。まず信頼回復するとか言うんやったら、金返せしかないですね」と怒りを露わにする。

男性の代理人弁護士によると11月上旬にも約1200人の出資者が原告となり、110億円規模の損害賠償を求め提訴する方針だという。
(テレビ西日本)

 
       
         
         
        