太平洋側で異例の豊漁が続くスルメイカ。
水産庁は11月1日から漁獲量の上限を超えた小型のイカ釣り漁船について、「操業停止命令」を出しました。
この命令に、鳥取県の漁師は困惑しています。
イカ漁師・湯口健治さん:
スルメ一本です。それが5カ月停止になったらもう完全な死活問題。
鳥取県岩美町の田後港。
憤りをあらわにするのは、イカ漁師の湯口健治さんです。
怒りの矛先は、水産庁が打ち出した「小型イカ釣り船」の操業停止命令です。
主に太平洋側で近年にない豊漁が続いているスルメイカについて、水産庁は国が決めた全国の漁獲可能量を超えたとして、11月1日から2026年3月末までの5日月間、5トンから30トンまでの漁船を扱う「小型イカ釣り漁」の停止命令を出しました。
スルメイカ漁の停止命令が出されるのは、漁獲制限が設けられた1998年以降では初めてです。
ここ田後港でも9隻のイカ漁船のうち4隻が停止命令の対象に。
この決定は、イカ専門漁師の湯口さんにとって5カ月間、収入がゼロになることを意味します。
イカ漁師・湯口健治さん:
去年より水揚げが少ないのに、これからという時にイカが獲れないと言われたら…。
今回の命令につながった異例の豊漁は、主に太平洋側での話。
鳥取県沖を含む日本海側では、春先は好調だったもののその後、漁場が形成されなかったことなどが原因で一転して不漁に。
鳥取県内の漁港における8月までの水揚げ総量は、過去5年で最低の143トン。
田後港でも、多かった年の4分の1程度で、これからの巻き返しを期待していた漁業関係者は、地域間の不公平さに怒りを隠せません。
田後漁協・山根正平組合長:
今まで一生懸命歯を食いしばって獲れないスルメイカを探して、生活をギリギリでしていた。漁師が芽が見えたと思ったら停止、そりゃ誰も怒りますよ。国がなんとか助成をしないとみんなつぶれてしまう。
イカ漁師にとっては、死活問題となる今回の停止命令。
漁師からは漁協に対して、休漁に伴う国からの補償を求める声が相次いでいるということです。