韓国・ソウルの繁華街で、150人以上が死亡した雑踏事故から29日で3年になる中、当時、救助活動にあたった消防隊員たちの心のケアが課題となっています。
2022年10月29日にソウルの梨泰院(イテウォン)で、日本人2人を含む159人が亡くなった雑踏事故から3年となる29日、ソウル中心部では追悼のサイレンが鳴らされ、遺族らが犠牲者を悼みました。
遺族は、「3年という時間、1日1日が長くて、さみしくてつらい時間でした」と語りました。
一方で今、課題となっているのが、当時救助活動にあたった消防士たちの心のケアです。
発生直後に救助活動にあたった消防士2人が、2025年に入って立て続けに自殺しました。
出動した消防士は1316人にのぼりますが、その1割がPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの症状で診療を受けています。
当時出動した消防士のイ・ワンスさん:
例えば、心肺蘇生法を一生懸命やっているのにAEDが消える夢。現場が血まみれで、患者の胸を圧迫しようとしたら自分の家族だった夢を見る。
事故現場で救助活動にあたったイ・ワンスさんも事故後、深刻なトラウマ(心的外傷)に悩まされました。
当時出動した消防士のイ・ワンスさん:
「最近幸せ」、「出動できて幸せ」と言えるまでに1年半かかりました。
事故直後に行われたカウンセリングなどの支援は手薄になっていると指摘されていて、継続的な心のケアが求められています。